ENo.0006　凍てつく雪の魔王『フロワ』

あたり一面　ほのおの　海…。

フロワ、あついのは　苦手だから　この　光のつえ（『てんこーてんま』って言うんだって）で　しのいでるの。これがあれば、フロワの　おやしきが　溶けたり、フロワの『おともだち』が　もえたりはしない…。　

ほのおの　中で　にげまどう　ゆうしゃたち…。
やっつけても　ふっかつするけど、さすがに　かわいそうかな？
フロワは　おやしきから　ぼーっと、ながめてたの。

そしたら…おそろしいことが　起こったの。
まわりの　まおうの　おしろごと、ゆうしゃを　もやしていた　ほのおが　次々と　意思を持って　立ち上がって、フロワたちに　おそいかかってきたの。

どうしよう。このままだと　フロワは　本当に　ころされちゃうの…？
…ううん。ここで　死ぬわけにはいかない。

フロワは　りゅうだから、強いもん！
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…フロワは、たくさん　がんばったの…。
でも、やっぱり　フロワは　子どもなの…。

ひとりだけじゃ、がんばれない。
ターピさんの　ように、わたしにも　とくべつな『おともだち』…しもべが　ほしいの！

やり方は、わからないけど…今の　フロワは　りゅうで　まおうだから、なんだって　できるもん！
しもべは　どんなのが　いいかな。モーヴェさん　くらいの　おにいさんも　いいけど、やっぱり　フロワと　年が近い子が　いいな…。
明るくて、フロワと　いっしょに　遊んでくれる子が　いい！

理想の『おともだち』を　頭に　えがいて、フロワは　しもべを　よびだした。
（どうか、フロワの　おともだちに　なってください、おねがいします。）
心の中で、そう強く　おねがいしたの。
そしたら…。




オレンジの色の　短い　かみの毛と、むらさき色の　おめめ。
フロワより　少しだけ年上の　おねえちゃんが、フロワの　前に　あらわれたの。

「ひゃんっ！　冷たいっ！」
「…ここ、どこ？　…あなたは？」

「わたしは　フロワ・フロストドラゴン。」
「あなたは　これから、フロワの　しもべになってもらうの。」
「ええとね。しもべと　言っても　フロワの　おてつだいをして　ほしいだけなんだけど…。」
「おねがい。フロワの　『おともだち』になってくれる？」
「だいじょうぶ。ちょっとの間だけだから。」

「んー…。いいよ。でもちょっとだけね！」
「わたしはね、カヴネル・レビン。」
「『カヴ』って、呼んでね！」

「ありがとう。よろしくね、カヴ…。」

あらゆる種類の木々がねじれ、取り込まれた一本の大樹が生えている。 焦げかけの看板に『プランタ・タルタリカ『ルマ 』・バロメッツ』とあるが特に羊が生えてくる様子はない。
様々な形の葉が作る木漏れ日の下にあるハンモック、はめ込まれた丸い窓。ごつごつとした木肌葉が黄色赤に色づき、時々あるところから甘い香りの煙が立ち上る以外このツリーハウスに変わった様子はないようだ。
朝焼けを浴びると燃えるような輝きを見せ、ぱきり、ぱきりと樹が伸びる音がして、目覚ましがわりになる。正直早すぎる。