ENo.0006　凍てつく雪の魔王『フロワ』

ある日。わたしは、氷のおやしきで目をさましたの。
見なれていた　ゆかも、かべも、天井も。みんなきれいな氷になっていたの。
しかも、外に出たら、そこは知らない場所。
わたしは　なぜ、こんなところにいるのかな。お父さんも、お母さんも、しつじさんとメイドさんも、みんないなくなってたの。

でも、これなら…！　まほうを　使っても　大人たちにおこられない！
わたしは　氷から　おともだちを作ったり、寒さが　大好きな　おともだちをよんで、いっしょにあそぶことにしたの。まるで　ゆめのせかいみたい。

でも、これが。短くて　長いたたかいの　はじまりに　なるってことを、このときのわたしは　まだ、知らなかったの…。

あらゆる種類の木々がねじれ、取り込まれた一本の大樹が生えている。 焦げかけの看板に『プランタ・タルタリカ『ルマ 』・バロメッツ』とあるが特に羊が生えてくる様子はない。
様々な形の葉が作る木漏れ日の下にあるハンモック、はめ込まれた丸い窓。ごつごつとした木肌葉が黄色赤に色づき、時々あるところから甘い香りの煙が立ち上る以外このツリーハウスに変わった様子はないようだ。
朝焼けを浴びると燃えるような輝きを見せ、ぱきり、ぱきりと樹が伸びる音がして、目覚ましがわりになる。正直早すぎる。