ENo.0006　凍てつく雪の魔王『フロワ』

さいきん、やしきの外が　さわがしいの。
《コズミックスフィア》から　遠くはなれた場所で　まおうが死んだ、という話。フロワも聞いたの。

『へんい』って　なんだろう？　フロワには　よく分からないけど、これはきっと　おそろしい何かの　はじまりなんだ。虫の知らせ…フロワの　りゅうの　ほんのうが　そうつげている気がするから。

あの　遠くにいた　まおうみたいに　黒い　サビみたいになって、苦しみながら　死ぬのは　いやだな…。
フロワは　はじめて、少しだけ本当のおうちに　帰りたいなとは思ったけど…。

それでも、ぜったいくじけたりしない。
フロワは　りゅうだから、ひとりでも　たたかえるもん…。



…なんだか、つかれてきたの。それに、とてもねむい。
雪で作ったり、呼び出したりする『おともだち』だけじゃ、もう　げんかい…。

フロワ、これからどうしよう…。

あらゆる種類の木々がねじれ、取り込まれた一本の大樹が生えている。 焦げかけの看板に『プランタ・タルタリカ『ルマ 』・バロメッツ』とあるが特に羊が生えてくる様子はない。
様々な形の葉が作る木漏れ日の下にあるハンモック、はめ込まれた丸い窓。ごつごつとした木肌葉が黄色赤に色づき、時々あるところから甘い香りの煙が立ち上る以外このツリーハウスに変わった様子はないようだ。
朝焼けを浴びると燃えるような輝きを見せ、ぱきり、ぱきりと樹が伸びる音がして、目覚ましがわりになる。正直早すぎる。