第2回目 午前4時の雇われ指揮者『三原辰乃』
◆日記
チューニング。
ざわざわと、ごそごそと、ひそひそと、身じろぎやささやき声に満たされていた空間を、鮮やかな楽器の音が満たしていく。
オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットにクラリネット、トロンボーン、ホルン……わずかなずれはやがて収束し、魔王領域がひとつの音(A)のもとに統一された。
辰乃の軽く上げた手によって音が収まれば、あとは胸の痛くなるような静寂と緊張感。──音楽への熱望が否が応でも高まって、世界がピンと張り詰める。
息を吸うと、ひぃ、と悲鳴めいた声がわずかに漏れる。すでに、脂汗がじっとりと背中に脚に滲んでいた。
それをばかばかしいと思う頭がある。けれど、この場に圧されるなと言うのは、辰乃にはどだい無理な話だった。
壇上に立っているわけでも、観客席を前にしているわけでもないのに、それがはっきりと分かる。魔王の間には誰ひとり楽団員の姿は見えないのに、皆が自分の指揮を待っているのを感じる。
こんなに大勢に注目されることなど、辰乃にとっては分不相応に過ぎる。
({そもそも自分は音楽だって指揮だって、何一つわかりゃしないのに!})
それでも指揮者として雇われた以上は、ここで逃げ出すということはできはしない。
けれど、どうして?
(さあね!)
辰乃は大きく息を吐き──腹を決めて、今度は力強く指揮棒を振り下ろした。
──魔王とは。
魔王とは、かつてこの{できそこないの世界}の理の一角を担っていた者たちであったと言う。
神と魔王と勇者とで、この世界は成り立っていた。
詳しい経緯を辰乃は知らない。現在では神々は世界からその姿を消し、魔王の力は失墜し、その権能は今や狭苦しい領域に押し込められ、その中のみに及ぶことになった。その広さ、わずか四畳半。
しかし、辰乃が今めちゃくちゃに指揮棒を振っている広大な魔王の間は、まさにその四畳半の魔王領域の中に存在した。
四畳半の領域の中に、魔王はあらゆる世界を詰め込むことができる。
だが。
「指揮者(コンダクター)! 奴らがやってきたぞ! 忌まわしい勇者たちが!」
目も眩むほどに華やかで軽やかな滑り出し。テンポは目まぐるしく速く、疾走していると称するに相応しい。
ケープハイラックスの一頭が、辰乃の肩の上に乗って耳元でがなり立てた。視線を巡らせると、城の入口に勇者の群れが差し掛かっているのが見える。
魔王の間は城の最奥。そこから門の設置されたエントランスまでは、いくつもの区画を潜り抜ける必要がある。
しかし、魔王領域の広さは四畳半に過ぎない。いかに城館が広大無辺でも、辰乃の目は魔王城の隅々まで届くのだ。ちらと視線を動かせば、魔王城のそこここに、演奏者たちの姿も見える。
見張り台に。応接間に。回廊に。闘技場に。商店街に。
陽炎のように、幻のように。とらえどころなく揺らめく楽団員たちは、確かに楽器を構えて音を奏でている。そして、魔王城の隅々まで、軽やかに旋律を響かせる。
辰乃の指揮によって──ということになっているけれど、その『指揮』が辰乃の知る『指揮』とはまるで異なるものであるのは明らかだ。
なにせ辰乃は、この曲がどのように展開し、どのように最高潮を迎え、そしてどのように終息を迎えるのかをまるで知らないのだから。
そもそもふつうのオーケストラは、音で勇者を攻撃しない。
ティンパニーが叩かれるとともに、魔王城の奥へと足を進める勇者たちを衝撃が打ち据える。かれらの姿は魔王城の楽団員のごとくわずかに揺らめいたが、消え去るまでには至らない。
しかし、白い粉のようなものがその足元にわずかに零れているのを辰乃は見逃さない。
塩だ。勇者たちは、塩の塊でできている。
……この勇者という存在についても、辰乃が知っていることは多くない。何を目的としているのか、何を考えているのか、その辺りはさっぱり分からない。
分かることと言えば、彼らが魔王領域の支配の力を無効化する『聖なる力』を持っていることと、魔王城に向かって執拗に侵攻してくるということだけだ。
そう、魔王城。魔王城すべてに向かって。
「ひィ!」
今度ははっきりと悲鳴を喉から迸らせて、辰乃はあとじさった。
迫りくる音を弾き飛ばし、ティンパニーを叩く影を切り裂いて、勇者がエントランスから次の区画へと進む。廊下の中を炎が回転し、全身を鎧で固めたもの、昔のロール・プレイング・ゲームに出てきそうな古めかしい勇者――たちが、魔王城を破壊しながら踏破していく。
ティンパニー奏者が切り裂かれたその瞬間、視界ごと魔王城の空間がぶれた気がして、辰乃は眉根を寄せた。
辰乃が座らされた魔王の間の外、四畳半の魔王領域のそのさらに外には、へし合うようにしていくつもの魔王城がへし合っている。その中にはそれぞれ魔王がいて、己の魔王領域を持っているという。
勇者はこの瞬間にも、辰乃のいる魔王城と、ほかの魔王城を攻め立てているようだ。理屈は分からないが、ぶれた空間の向こう側には、ほかの見知らぬ魔王の城が見えた気がした。まさに同時に、複数の魔王城へ向けて侵攻が行われているのだ。
それが一体どういうことなのか、この場で起こっていることとは一体何なのか、辰乃には見当もつかない。
ただ、できることがただ一つあって、こうしてなにも分からないまま、楽団に向けて指揮棒を振るい続けることだ。勇者がこの魔王領域まで踏み込めば、魔王城は上から下までめちゃくちゃにされて、辰乃も無事では済まないだろうから。
わずかの間、楽団の中からティンパニーが消え失せ、歯抜けとなった旋律は、辰乃が慌てているうちにいつの間にか、完璧なものに戻っていた。
時に激しく、時に静かに、ただ速く、音が紡がれる。そのあいだにも、息を吐いて、額に浮かんだ汗を拭い、辰乃は指揮のまねごとを繰り返す。
ここで自分が果たしている役割とはいったい何なのか、何も分からず指揮棒を振るうだけなら、別になくても同じではないか。そう思ったことは何度もある。
しかし、この影たちは辰乃が息を上げて指揮棒を振らなくなると、たちまち演奏を止めてしまうのである。そうなれば、魔王城に旋律は絶え、音の魔法も途切れて、勇者を防ぐことは叶わなくなる。
たぶん、指揮というより、オルゴールを回しているのに近いのではないだろうか。ねじを回してやらなければ音を奏でることはないように、辰乃が指揮をしなければ楽団員たちも動くことはない。
これも、どういう理屈なのかは分からない。辰乃である必要があるのか、指揮棒に特別な意味があるのか、その両方か。とは言え、これぐらいの労力で楽団が動いてくれるのならば安いものだ。あの勇者たちがこの魔王領域まで攻め込んで来たら! 楽団員たちと違って、辰乃は不死ではない。
「いい調子だ! この調子でどんどん行こう、辰乃!」
「指揮者(コンダクター)って呼んで、指揮者って……」
足元の小動物の声は、城中に響く旋律にかき消されていささか聞こえにくい。
辰乃は喘ぎ喘ぎ答えて、重くなった腕を振り上げる。これぐらいの労力とは言うものの、絶え間なく指揮棒を振り続けるのは、それなりに重労働だ。けれど、元の体とどちらが体力があったのかと考えると、それはどちらとも言えなかった。
楽団は勇者たちを圧しとどめ、打ち据え、よくやってくれているようだった。楽曲のテンポが速いことが影響しているのか、楽団員たちの動きもいやに早い。辰乃が彼らに合わせる必要はないが、見ているだけでせわしない気持ちにされ、息が上がってくる。
「しかし、この曲何分あるの? めちゃくちゃ長くない……?」
「本当は五分ぐらい、これぐらいのスピードなら四分四十秒ぐらいかな」
「方々を繋ぎ合わせて、それっぽくリピートしているんだね」
「演奏は素晴らしい速弾きだけど」
「曲としてはもう冗長だね」
ぽろりとこぼした辰乃の問いに、ケープハイラックスが四頭がかりで答えた。
実のところ、こいつについても辰乃は知らないのである。ただ辰乃を指揮者(コンダクター)と呼び、指揮をして勇者を防げとせっつくいてくるから、少なくとも敵ではない、はずだ。
辰乃も、この小動物に言われていやいや指揮者をやっているというわけでもないのだ。
ただ、自分が周りと違って魔王城のあるじ、魔王領域を支配する魔王そのひとではなく、その力を借り受けた指揮者に過ぎず。
本来の魔王はこの城を空けている。
辰乃でも、この小動物の群れでもない、本当の魔王が――
「あの勇者だ、指揮者(コンダクター)!」
と。
かかった声に、辰乃は慌てて辺りを確認した。侵攻する勇者のひとりが、強く炎を噴き上げて歩みを進めるのが見える。
ほかの勇者は音の攻撃を受けずともその存在がぶれて見えるけれど、あの勇者だけははっきりと姿形がわかった。
ここにいる。
こちらへ向かっている。
「『回転する火の勇者』……」
指揮棒を振る手を止めないまま、辰乃はひそやかに呟いた。途端に、痺れるような感覚が体を突き抜ける。
――それは恐怖であり、同時に期待である。
あの勇者に殺されるかも知れないことについて。
あるいは、あの勇者を殺すかも知れないことについて。
「指揮者(コンダクター)」
「分かってる……!」
答える声はみっともなく震えている。それだって、恐ろしさだけが理由とは言えないのだ。
辰乃は熱っぽく息を吐き出しながら、たった四畳半の向こうにいる、広大な魔王城を踏破せんとする異形の勇者へと指揮棒を差し向けた。
楽曲が変わる。
ざわざわと、ごそごそと、ひそひそと、身じろぎやささやき声に満たされていた空間を、鮮やかな楽器の音が満たしていく。
オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットにクラリネット、トロンボーン、ホルン……わずかなずれはやがて収束し、魔王領域がひとつの音(A)のもとに統一された。
辰乃の軽く上げた手によって音が収まれば、あとは胸の痛くなるような静寂と緊張感。──音楽への熱望が否が応でも高まって、世界がピンと張り詰める。
息を吸うと、ひぃ、と悲鳴めいた声がわずかに漏れる。すでに、脂汗がじっとりと背中に脚に滲んでいた。
それをばかばかしいと思う頭がある。けれど、この場に圧されるなと言うのは、辰乃にはどだい無理な話だった。
壇上に立っているわけでも、観客席を前にしているわけでもないのに、それがはっきりと分かる。魔王の間には誰ひとり楽団員の姿は見えないのに、皆が自分の指揮を待っているのを感じる。
こんなに大勢に注目されることなど、辰乃にとっては分不相応に過ぎる。
({そもそも自分は音楽だって指揮だって、何一つわかりゃしないのに!})
それでも指揮者として雇われた以上は、ここで逃げ出すということはできはしない。
けれど、どうして?
(さあね!)
辰乃は大きく息を吐き──腹を決めて、今度は力強く指揮棒を振り下ろした。
──魔王とは。
魔王とは、かつてこの{できそこないの世界}の理の一角を担っていた者たちであったと言う。
神と魔王と勇者とで、この世界は成り立っていた。
詳しい経緯を辰乃は知らない。現在では神々は世界からその姿を消し、魔王の力は失墜し、その権能は今や狭苦しい領域に押し込められ、その中のみに及ぶことになった。その広さ、わずか四畳半。
しかし、辰乃が今めちゃくちゃに指揮棒を振っている広大な魔王の間は、まさにその四畳半の魔王領域の中に存在した。
四畳半の領域の中に、魔王はあらゆる世界を詰め込むことができる。
だが。
「指揮者(コンダクター)! 奴らがやってきたぞ! 忌まわしい勇者たちが!」
目も眩むほどに華やかで軽やかな滑り出し。テンポは目まぐるしく速く、疾走していると称するに相応しい。
ケープハイラックスの一頭が、辰乃の肩の上に乗って耳元でがなり立てた。視線を巡らせると、城の入口に勇者の群れが差し掛かっているのが見える。
魔王の間は城の最奥。そこから門の設置されたエントランスまでは、いくつもの区画を潜り抜ける必要がある。
しかし、魔王領域の広さは四畳半に過ぎない。いかに城館が広大無辺でも、辰乃の目は魔王城の隅々まで届くのだ。ちらと視線を動かせば、魔王城のそこここに、演奏者たちの姿も見える。
見張り台に。応接間に。回廊に。闘技場に。商店街に。
陽炎のように、幻のように。とらえどころなく揺らめく楽団員たちは、確かに楽器を構えて音を奏でている。そして、魔王城の隅々まで、軽やかに旋律を響かせる。
辰乃の指揮によって──ということになっているけれど、その『指揮』が辰乃の知る『指揮』とはまるで異なるものであるのは明らかだ。
なにせ辰乃は、この曲がどのように展開し、どのように最高潮を迎え、そしてどのように終息を迎えるのかをまるで知らないのだから。
そもそもふつうのオーケストラは、音で勇者を攻撃しない。
ティンパニーが叩かれるとともに、魔王城の奥へと足を進める勇者たちを衝撃が打ち据える。かれらの姿は魔王城の楽団員のごとくわずかに揺らめいたが、消え去るまでには至らない。
しかし、白い粉のようなものがその足元にわずかに零れているのを辰乃は見逃さない。
塩だ。勇者たちは、塩の塊でできている。
……この勇者という存在についても、辰乃が知っていることは多くない。何を目的としているのか、何を考えているのか、その辺りはさっぱり分からない。
分かることと言えば、彼らが魔王領域の支配の力を無効化する『聖なる力』を持っていることと、魔王城に向かって執拗に侵攻してくるということだけだ。
そう、魔王城。魔王城すべてに向かって。
「ひィ!」
今度ははっきりと悲鳴を喉から迸らせて、辰乃はあとじさった。
迫りくる音を弾き飛ばし、ティンパニーを叩く影を切り裂いて、勇者がエントランスから次の区画へと進む。廊下の中を炎が回転し、全身を鎧で固めたもの、昔のロール・プレイング・ゲームに出てきそうな古めかしい勇者――たちが、魔王城を破壊しながら踏破していく。
ティンパニー奏者が切り裂かれたその瞬間、視界ごと魔王城の空間がぶれた気がして、辰乃は眉根を寄せた。
辰乃が座らされた魔王の間の外、四畳半の魔王領域のそのさらに外には、へし合うようにしていくつもの魔王城がへし合っている。その中にはそれぞれ魔王がいて、己の魔王領域を持っているという。
勇者はこの瞬間にも、辰乃のいる魔王城と、ほかの魔王城を攻め立てているようだ。理屈は分からないが、ぶれた空間の向こう側には、ほかの見知らぬ魔王の城が見えた気がした。まさに同時に、複数の魔王城へ向けて侵攻が行われているのだ。
それが一体どういうことなのか、この場で起こっていることとは一体何なのか、辰乃には見当もつかない。
ただ、できることがただ一つあって、こうしてなにも分からないまま、楽団に向けて指揮棒を振るい続けることだ。勇者がこの魔王領域まで踏み込めば、魔王城は上から下までめちゃくちゃにされて、辰乃も無事では済まないだろうから。
わずかの間、楽団の中からティンパニーが消え失せ、歯抜けとなった旋律は、辰乃が慌てているうちにいつの間にか、完璧なものに戻っていた。
時に激しく、時に静かに、ただ速く、音が紡がれる。そのあいだにも、息を吐いて、額に浮かんだ汗を拭い、辰乃は指揮のまねごとを繰り返す。
ここで自分が果たしている役割とはいったい何なのか、何も分からず指揮棒を振るうだけなら、別になくても同じではないか。そう思ったことは何度もある。
しかし、この影たちは辰乃が息を上げて指揮棒を振らなくなると、たちまち演奏を止めてしまうのである。そうなれば、魔王城に旋律は絶え、音の魔法も途切れて、勇者を防ぐことは叶わなくなる。
たぶん、指揮というより、オルゴールを回しているのに近いのではないだろうか。ねじを回してやらなければ音を奏でることはないように、辰乃が指揮をしなければ楽団員たちも動くことはない。
これも、どういう理屈なのかは分からない。辰乃である必要があるのか、指揮棒に特別な意味があるのか、その両方か。とは言え、これぐらいの労力で楽団が動いてくれるのならば安いものだ。あの勇者たちがこの魔王領域まで攻め込んで来たら! 楽団員たちと違って、辰乃は不死ではない。
「いい調子だ! この調子でどんどん行こう、辰乃!」
「指揮者(コンダクター)って呼んで、指揮者って……」
足元の小動物の声は、城中に響く旋律にかき消されていささか聞こえにくい。
辰乃は喘ぎ喘ぎ答えて、重くなった腕を振り上げる。これぐらいの労力とは言うものの、絶え間なく指揮棒を振り続けるのは、それなりに重労働だ。けれど、元の体とどちらが体力があったのかと考えると、それはどちらとも言えなかった。
楽団は勇者たちを圧しとどめ、打ち据え、よくやってくれているようだった。楽曲のテンポが速いことが影響しているのか、楽団員たちの動きもいやに早い。辰乃が彼らに合わせる必要はないが、見ているだけでせわしない気持ちにされ、息が上がってくる。
「しかし、この曲何分あるの? めちゃくちゃ長くない……?」
「本当は五分ぐらい、これぐらいのスピードなら四分四十秒ぐらいかな」
「方々を繋ぎ合わせて、それっぽくリピートしているんだね」
「演奏は素晴らしい速弾きだけど」
「曲としてはもう冗長だね」
ぽろりとこぼした辰乃の問いに、ケープハイラックスが四頭がかりで答えた。
実のところ、こいつについても辰乃は知らないのである。ただ辰乃を指揮者(コンダクター)と呼び、指揮をして勇者を防げとせっつくいてくるから、少なくとも敵ではない、はずだ。
辰乃も、この小動物に言われていやいや指揮者をやっているというわけでもないのだ。
ただ、自分が周りと違って魔王城のあるじ、魔王領域を支配する魔王そのひとではなく、その力を借り受けた指揮者に過ぎず。
本来の魔王はこの城を空けている。
辰乃でも、この小動物の群れでもない、本当の魔王が――
「あの勇者だ、指揮者(コンダクター)!」
と。
かかった声に、辰乃は慌てて辺りを確認した。侵攻する勇者のひとりが、強く炎を噴き上げて歩みを進めるのが見える。
ほかの勇者は音の攻撃を受けずともその存在がぶれて見えるけれど、あの勇者だけははっきりと姿形がわかった。
ここにいる。
こちらへ向かっている。
「『回転する火の勇者』……」
指揮棒を振る手を止めないまま、辰乃はひそやかに呟いた。途端に、痺れるような感覚が体を突き抜ける。
――それは恐怖であり、同時に期待である。
あの勇者に殺されるかも知れないことについて。
あるいは、あの勇者を殺すかも知れないことについて。
「指揮者(コンダクター)」
「分かってる……!」
答える声はみっともなく震えている。それだって、恐ろしさだけが理由とは言えないのだ。
辰乃は熱っぽく息を吐き出しながら、たった四畳半の向こうにいる、広大な魔王城を踏破せんとする異形の勇者へと指揮棒を差し向けた。
楽曲が変わる。
NEWS
あなたは《コズミックスフィア》に押し込まれた天球使たちは、厳しくあなたたちを監視している
そんななか、秘密の情報が魔王たちのもとに流れる
魔王復権第一の希望。それは、レガリアの覚醒であるという
レガリアは、あと2度の覚醒を残している――
魔王の、真の力を取り戻すために……

「やぁやぁ、魔王たち。ルールッを守っていますか?」

「あなたたちがここ《コズミックスフィア》でいくらか自由になったところで……」

「わたしたちが権力を握っていることには、変わりないのですよ」

「キュアを信じるのです……それ以外は、すべてまやかしです」

「貴様らは何か企んでいるようだが、無駄な努力だ、と言っておこう」

「数百年にわたる暗黒の時代の中で、貴様らのような魔王が幾人もいた」

「そして、ありもしない希望にしがみつき、死んでいったのだ」

「おはよう、魔王の諸君(眼鏡クイッ)」

「君たちやってもらいたいのは(眼鏡クイッ)レガリアの覚醒(眼鏡クイッ)だ」

「(眼鏡クイッ)結論から言おう(眼鏡クイッ)レガリアには隠された力がある(眼鏡クイッ)」

「それを開放していくことが(眼鏡クイッ)『ゼロのレガリア』に届くための一歩だ(眼鏡クイッ)」

「こんにちは。僕は『スバタ』。君たちと同じ魔王だよ」

「あの眼鏡をクイックイッしているひとの仲間でもある」

「いま、《コズミックスフィア》には脅威が侵入している。僕らの『敵』とでも言おうかな」

「まぁ、僕ら魔王は無敵さ。絶対に奴には負けない」

「新しい魔王戦線の門出を祝って。プレゼントがある。陰ながら応援しているよ」

「お前! また会ったな!!」

「魔王を見たことがないか!? いや、普通の勇者だったら、魔王を追撃する力を持っている」

「でも俺は!できそこないの勇者だ!だから、魔王の居場所が分からないんだ」

「魔王を見つけたら教えてくれ! じゃな! また!」
◆訓練
好感度の訓練をしました今回作成の好感度が10上昇した
好感度の訓練をしました今回作成の好感度が11上昇した
好感度の訓練をしました今回作成の好感度が12上昇した
『指揮者』はふつうのジャイアント-0を購入した!!
『指揮者』は双子の巨人『L&Z』を購入した!!
『指揮者』はふつうの熱砂-0を購入した!!
『指揮者』は《窓際》を購入した!!
『指揮者』はすいかを購入した!!
『指揮者』は帰ってきたストーンゴーレムさんを購入した!!
『指揮者』はあっつ!を購入した!!
『指揮者』は月下灯を購入した!!
『指揮者』は焦げた柱と白い灰を購入した!!
『指揮者』はBeluluFloceを購入した!!
『指揮者』はさきゅばすな式神ちゃんwを購入した!!
◆作製
サイケデリックなピッコロ奏者を作製した!!
◆レガリア決定
天光天摩 に決定!!
◆アセンブル
見張り台にふつうのジャイアント-0を装備した
エントランスに双子の巨人『L&Z』を装備した
通路にふつうの熱砂-0を装備した
応接間に《窓際》を装備した
商店街にすいかを装備した
回廊に帰ってきたストーンゴーレムさんを装備した
三叉路にあっつ!を装備した
幹部の部屋に月下灯を装備した
魔法陣に焦げた柱と白い灰を装備した
奈落にBeluluFloceを装備した
魔王領域にさきゅばすな式神ちゃんwを装備した
◆心魂結束
◆対象指定
対象指定……フリー
ユニオン活動
【素人楽団】の活動記録
言うて初心者で、音楽とかよく分かんないんすよね
経験値の訓練をしました
経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
メッセージ
◆戦闘結果
戦闘結果は*こちら*
◆ダイジェスト結果
精算
売上高 101
┗懲罰室補正 -3%
攻撃戦果収入16.85
支援戦果収入50.23
防衛戦果収入3.4
捕虜交換 200
戦闘報酬270
販売数補正 0.3%
売上均衡補正 9%
戦闘報酬均衡補正4.7%
合計現金収入421
獲得レートポイント421
収入 3200moneyがかき集められました
【!】召喚費用 150moneyを消費しました
【!】経費 3597moneyを消費しました
パーツ販売数 3個
今回の購入者-->>3 >>8 >>79
◆経験値が23.44増加しました……
◆『回転する火の目の勇者』 は カオティックロウ を習得したようだ……
あなたは11回徳を積みました
あなたは2回カルマを重ねました
あなたは3回和解しました
┗懲罰室補正 -3%
攻撃戦果収入16.85
支援戦果収入50.23
防衛戦果収入3.4
捕虜交換 200
戦闘報酬270
販売数補正 0.3%
売上均衡補正 9%
戦闘報酬均衡補正4.7%
合計現金収入421
獲得レートポイント421
収入 3200moneyがかき集められました
【!】召喚費用 150moneyを消費しました
【!】経費 3597moneyを消費しました
パーツ販売数 3個
今回の購入者-->>3 >>8 >>79
◆経験値が23.44増加しました……
◆『回転する火の目の勇者』 は カオティックロウ を習得したようだ……
あなたは11回徳を積みました
あなたは2回カルマを重ねました
あなたは3回和解しました
あなたは『スバタ』から、硬質グミを渡された……
キャラデータ
名前
雇われ指揮者『三原辰乃』
愛称
『指揮者』
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| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三原辰乃 魔王に雇われた『指揮者(コンダクター)』 魔王の権能を一時的に貸与され、楽団を指揮する。 本来は男性らしい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あなたの作製した勇者 『回転する火の目の勇者』
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__0 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() __6 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() _12 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() _18 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
お城データ |
|
|
ID | 種別 | 名前 | 詳細 |
---|---|---|---|
1 | シュラ物理護衛:ジャイアント | ふつうのジャイアント-0 [20] | ▼詳細 |
2 | 徳物理護衛:ジャイアント | 双子の巨人『L&Z』 [20] | ▼詳細 |
3 | 徳火炎建築:熱砂 | ふつうの熱砂-0 [20] | ▼詳細 |
4 | 電撃護衛:クラウド | あなたのクラウド [20] | ▼詳細 |
5 | 冷気罠:水牢の罠 | あなたの水牢の罠 [20] | ▼詳細 |
6 | 電撃建築:尖塔 | あなたの尖塔 [20] | ▼詳細 |
7 | 電撃罠:アラームの罠 | あなたのアラームの罠 [20] | ▼詳細 |
8 | 冷気護衛:ビースト | あなたのビースト [20] | ▼詳細 |
9 | 冷気建築:水路 | あなたの水路 [20] | ▼詳細 |
10 | 電撃護衛:クラウド | あなたのクラウド [20] | ▼詳細 |
11 | 電撃建築:尖塔 | あなたの尖塔 [20] | ▼詳細 |
12 | 冷気護衛:ビースト | あなたのビースト [20] | ▼詳細 |
13 | カルマ冷気建築:水路 | 冷たいアルペジオ [20] | ▼詳細 |
14 | 虚空火炎建築:懲罰室 | 《窓際》 [20] | ▼詳細 |
15 | 徳物理建築:植物 | すいか [20] | ▼詳細 |
16 | 徳物理護衛:ジャイアント | 帰ってきたストーンゴーレムさん [20] | ▼詳細 |
17 | 徳火炎建築:熱砂 | あっつ! [20] | ▼詳細 |
18 | カルマ火炎罠:睡眠ガスの罠 | 月下灯 [20] | ▼詳細 |
19 | 徳火炎建築:熱砂 | 焦げた柱と白い灰 [20] | ▼詳細 |
20 | 徳物理護衛:アルラウネ | BeluluFloce [20] | ▼詳細 |
21 | 徳火炎護衛:サキュバス | さきゅばすな式神ちゃんw [20] | ▼詳細 |
22 | カルマ電撃護衛:サイキック | サイケデリックなピッコロ奏者 [20] | ▼詳細 |
23 | 商品罠:商品の罠 | 硬質グミ [21] | ▼詳細 |
24 | --- | --- | --- |
25 | --- | --- | --- |
26 | --- | --- | --- |
27 | --- | --- | --- |
28 | --- | --- | --- |
29 | --- | --- | --- |
30 | --- | --- | --- |
次回の報酬ボーナス
売上均衡補正 | 3.3% |
---|---|
戦闘報酬均衡補正 | 3.43% |
明日の戦場
作戦開始……6時00分 第2ブロック 「フリアの霧渦巻く底」
霧深き奈落。迷うもの、立ち止まるもの。栄光は、その先にある
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![]() | エーレ 攻撃種別:カルマ火炎護衛 習得魔法: カオティックロウ ヘルブレイズ レベル :10 勇者情報:ただし魔法は尻から出る |
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