ENo.0040　Henyey track

@管理者@これはひどいな。まるで歯が立っていないじゃないか。

　管理者がハービック・ハローの状況を確認して呟く。連続して爆風を受け、粉々に砕け散ったハービック・ハローの機体の映ったモニターと先ほどからノイズしか映らないモニターが管理者の目に入っている。一つはハービック・ハローを監視するために追尾させた小型操縦機のカメラから、そしてもう一つはハービック・ハローの機体内に取り付けられたカメラから映像を入手するものだ。

　勇者は魔王の攻撃を受けて陥落するものではあるが、流石に何度も熱放射を受けた機体を回収するのは困難であった。だがヘニエイ・トラックは警備に回していた機体の一つをパーツ回収に向かわせることでその困難を乗り越えた。

こちらも損傷を受けました。1体、勇者の攻撃を受けて再起不能に。
@管理者@わかっている。初期個体の一つだろう？
はい。別の機体を宛がいます。

　初めてパーツが破壊された。このことはヘニエイ・トラックにとってそれほど重要なことではない、大事なのは収益の増加だ。防衛戦果は下がったものの、全体の戦果は先ほどの戦闘よりも上昇している。

@管理者@しかし、未だに第二ブロックか。
摘発からの復帰で第二ブロックまで上り詰めた、と呼ぶべきです。
@管理者@そうか？ううむ、そうなのか……

　今の発言は完全なる屁理屈だ。だが管理者を唸らせることはできたか。ヘニエイ・トラックは次のハービック・ハローの送付要求と、強化申告を記入し、まとめ、報告した。

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　ヘニエイ・トラックは『ゼロのレガリア』の為に、隠された力の解放をしなければならない。だが今のそれらにはまだ力が足りないことを、知りえない。そして、これから更なる強敵が待ち受けているだろうことも。