ENo.0040　Henyey track

ヘニエイ・トラック。人に造らしもの。人類の幸福を追求するために造られた機械。――わたしは己をそう認識している。


『スーパーデプスにてゼロのレガリアを探索せよ』それが今回の目的である。環境探索型人型アンドロイド――ヘニエイ・トラックは己の管理・調整を任せているもの、通称管理者から命令された。
支配する能力を授ける。と言われたはいいが、管理は管理者に任せるものなのではないか？


基本的にアンドロイドは自発的な行動を取ることがない。ヘニエイ・トラックは特にその傾向が強かった。レガリアの探索のみならばまだよかったのだ。だが、管理者の言葉は次のように続けられた。
ゼロのレガリアを手に入れた暁には魔王を復権させてもらう。そのためには、何をしてもよい。
どういうことですか？私にわかるように説明してください。
だから、『何をしてもいい』んだ。金を稼がないことにはお前に与えられた領域の能力発揮はできない。詳しいことは……そうだな、お前の行動はこちらのPCと連携しているから、何かあれば連絡してくれ。それじゃあ、行ってこい。




……はあ。
ヘニエイ・トラックには『管理する力』が授けられた。管理者いわく、『魔王復権には魔力がいるだろう』なのだとか。それとは別に、勇者と呼ばれるものがヘニエイ・トラックと共に来ることとなった。
……彼は？
彼か。ああ、お前の探査に役立つだろうと思ってな。彼と訓練すればいくらか強化もできよう。




彼には権限が付与されておらず、１体が討伐されたとしても代わりが派遣されることで無限に戦闘訓練を行うことが可能。
なんとも物好きなことだ。ヘニエイ・トラックは管理者に授けられた力を手に、空を見上げた。