ENo.0128　名も無き死者の王

　気がついてしまった。この世界にはファッション魔王とファッション勇者しかいない。自分は偉大な《名も無き死者の王》の第一の下僕であり魔王なんだ。魔王とは勇者が憎い生き物のはずだ。少なくとも自分は勇者が憎い。どうしてかわからないけど憎い。勇者はお前を裏切ったのだと、自分の中で誰かが叫んでいる。これはきっと正しい感情なんだ。けどこの世界の枠組、moneyが全て、という律法に縛られている。だが、おぞましき魔王の邪悪性を忘れてはいけない。戦いごっこをしてお金をむしり合うなんて遊びにいつまでも興じているつもりはない。文献を漁る。縛蝕呪界法。ライバル魔王を妨害するための呪法。これだ！


　　『モフモフにおびき寄せられたライバル店を潰すためのお祈りです』
　　『この状態になるためには猫・狗付加を8個以上装備する必要があります』




　←犬が八匹くっついている


　＜　王様は犬派なのかな、猫派なのかな……

真っ暗な空間。
死と生のあわいにある場所。猶予の領域とも呼ばれる。
生きた何かが来ると正気がグニョ～ンと引き伸ばされて
あたまがおかしくなってしぬ。
なんか死んでるか狂ってるかしている魔王なら大丈夫。

「頑張ってこの世界から生のシステムを取り除きましょうね」

周囲には誰もいない。