ENo.0035　北風の魔王『ターピ』

今までの雨は止みそうだけど、風はまだ本調子とは言えず。
僕は今日も店のいろいろを任されるハメになっていた…

さらに悪いことに僕は、とんでもない窮地に立たされていた。いや、立たせてしまったのです。

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売り場のようすがいつもと比べておかしい。
勇者たちがの雰囲気がどこか違って、商品には目もくれず…

ここが『カルマ勇者』の戦場と気づくまでにそう時間はかからなかった。でも、気づいた時にはもう遅かったのもまた事実だった。

「……どうしよう」

ホントのホントに大ピンチだ。うちみたいな徳ある勇者に商品を売るだけの店じゃカルマな勇者のお眼鏡にはかなわない。そしてなにより、センパイ魔王であるセワさんの語ったお話が、何度も何度も思い起こされて怖かった。

「ターピ様と、お隣のランズさんを危険な目に合わせるわけにはいきません…っ！」

僕が何とかしなくてはいけない。僕はそう決意した！

「……まず狙われたくないモノはなるべく隠して…小さい城に見せかけなくちゃ」
「そうだ！ターピ様が美味しいものが好きな人にカルマな勇者は居ないって……言ってたっけ？」
「ああ、ダメだよ、これじゃまだ危険を排除するには足りない…」

売り場をどうにかこうにかカルマ勇者に狙われないように頑張ってみたけれど、それでも襲いかかってくるとは限らないぞ、と頭の中で野生の勘的な警鐘が鳴っている。

どうすればいい？どうすればみんなを守れるの？

考えろ、

考えろよ、 …！

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ふと視界に入る、薄水色とレースの、洋服。
「……もうこれっきゃないだろっ！！」

広げてみるとメイド服だ。もうこれで僕が気を惹いてターピ様とランズさんには指一本触れさせない。

なんでメイド服があるのか？…知らないよそんなの、きっとこれも予見された運命だったんだ。


……かくして僕は、ひらひらフリフリの服で戦場へと躍り出ることに……

あらゆる種類の木々がねじれ、取り込まれた一本の大樹が生えている。

『プランタ・タルタリカ・バロメッツ』と書かれた看板があるが特に羊が生えてくる様子はない。

様々な形の葉が作る木漏れ日の下にあるハンモック、ごつごつとした木肌にはめ込まれた丸い窓。




これは『気品』ある、巨大なツリーハウスだ。


・気品ユニオンをします
・ツリーハウスへの来訪、宿泊、生活が可能です
・カントリーな雰囲気のおうちライフが楽しめます
・火気許容状態