ENo.0070　モリー・ノーグ＝イナーグ

『我が妻モリーへ

　とうとう城を開くと知らせが来たよ。
　この手紙が届く頃にはもう商売を始めているだろうか。
　君のことだから最初は無茶をしたり、散財したり、
　とても儲けなんて出せないかもしれない。

　しかし、それを代わりに嘆くのが私だ。
　君はどうか悲嘆に暮れず、貪欲に前を向いていてほしい。
　わずかばかりの知識ならどうにかひねり出して、
　君の力になれるといいと思っている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　』

新品のラジオの周波数を片手で合わせながら
滲んだ字の手紙に『蒐集王』はため息をついた

見ればわかる。
こつこつと学芸員にあたる人員を育成しているそうだ。