ENo.0090　にんじん紅茶の魔王『ラパン』

　（掘っ立て小屋には祭壇がある。祈りを捧げるものではあるが、彼にとってはささやかな気合の入れ直しを行う場所だ）
　（慎ましく正しく、スケールの小さい字体で文が綴られている）
　（『穴ぐらウサギの日誌』）

　ここは以前の場所とは違うようです。神様もおりません。私も年を取ったもので、今ではどんな怖い人たちとも戦えるような、多分、気がします。向こうに帰ってから幾星霜、子どもたちも立派に巣立っていって妻（つがい）と仲睦まじく商売をしていました。
　ただあの時の戦いが胸に刻まれており、自分がどこまで“商い”で戦えるのかの一念発起をいたしました。今回はどちらかというと、暴力沙汰ではないようでほっとしています。
　また百日と少しでしょうか。妻には了承を取って、きちんと稼いで来ようと肚をくくっているのです。

　ところで委員会や魔王の同盟など色々あるのですが、大丈夫なのでしょうか。早速の不安が山盛りです。

　（掘っ立て小屋には人参が捧げられている）

　祈りの小屋。
　ここに立ち寄るのは、信仰も種族も問わず個々人の自由。
　ただ壇があるだけの簡素な構造の小屋。