第3回目 午前6時の雇われ指揮者『三原辰乃』
◆日記
大きな筆で画布を一気に塗り潰したかのように、魔王城に鳴り響く音の色ががらりと変わった。
曲調ばかりではなく、楽団を構成する楽器の編成自体が大きく変更されている。コントラファゴットが姿を消し、ティンパニーに加えていくつもの打楽器、そして種々の金管楽器が取り揃えられて。奏でられるのは地の底から響くような、天の上から振り下ろすような、腹の底に響く重々しい旋律。
言葉を発して、楽団員たちに命じたわけではない。以前から打ち合わせをしていたわけでもない。陽炎めいたかれらはふだんから辰乃の前に姿を現さず、魔王城のどこかを通りがかった時に、視界の隅にちらつくだけの存在だ。
それが、ただ辰乃が指揮棒を一振りしただけで――そこに載せた意志を瞬時に汲んだとしか思えないような敏感さで、その動きを変える。
より大きく、より激しく、より重く、さきほどまでの軽やかさを振り捨てて、叩きつけるように強く、身もよだつほどに壮大に。城壁を振るわせ、見えない圧力さえ感じさせるその音の波は、辰乃たちにとってはそれでも{ただの音楽}でしかないが、勇者に対してはその身を打ち砕く魔法となる。
「走ってるな!」
ケープハイラックスがキイキイという獣めいた鳴き声とともに、辰乃の耳元で再び声を張り上げた。それは音に圧され足を止めた勇者のことを指しているわけでも、もちろん先程から疲れて足元から覚束なくなってきた辰乃のことでもなく、影の楽団たちが奏でるその音楽のことだろう。
辰乃はこの曲もまた聞いたことはない。
指揮者である辰乃が耳にしたこともない、曲名さえ分からない音楽を、間違いなく辰乃の指揮に従って奏でるのがこのオーケストラ、この魔王領域だ──しかし、小さな牙を向き出した小動物の怒鳴り声の通り、この演奏が{走っている}ことは、辰乃でも何となく理解できた。
世界を揺さぶるような激しさ、全身を震わせて金縛りにするような重さ、聴衆を圧倒するような壮大さ。だが、明らかに曲調のわりにテンポが速い。
まるで重い荷物を背負い、重装備のまま、足並みを揃えてマラソンをしているかのような。せわしなく疲れる気持ちにさせられる。
だがそれも、辰乃の心映えを写し取ったものであるかも知れなかった。辰乃自身が、この曲を聞く前から逸っている。
「……はあっ、はあっ……!」
上がる息を抑えて、辰乃は汗ばむ手で指揮棒を握り締め、魔王城の中を目を凝らして睨んだ。
炎はその力を減じ、音に圧されたように、しかし消えることもなくその場に凝っている。
『回転する火の目の勇者』は、まさにその双眸から燃え盛る炎を噴き上げた異形の勇者だ。とは言え楽団の音楽によって釘付けにされたその体は間違いなく人間のもので、火の向こうでじりじりと揺らめくその顔はあどけない少年にも見える。その顔の造作は、人形のように整っている。
この勇者のことを、辰乃は知っていた。
もちろん、ほかの勇者と同じぐらい何者か分からぬ存在だけれども、自分は個体としてかの勇者を認識している。
「……はあっ、はあっ、はあっ……!」
この大音量の中にもかかわらず、荒く吐き出される自分の息が、早鐘のような心臓の音が酷く大きく聞こえた。指揮棒を持たない方の手で──汗をかいてひどく震えている──胸元を掴み、口の中にたまった唾を飲み込む。
どくどくと高鳴る心臓も、からからに乾いた喉も、全身から噴き出す汗も、このむちゃくちゃな指揮に振り回されているばかりが理由ではない。
前からこの魔王城へ侵攻を繰り返している勇者だ。いつもは辛うじて追い返しているけれど、今日は楽団の調子がいい。もしかすると、上手くやれるかも知れない。
「はあっ、はあっ……!」
「指揮者(コンダクター)、慌てるな」
「そうだ。慌てるな。今日こそあの勇者を」
「分かってる、っ、分かってるから……!」
吐息交じりの自分の声は、みっともないほどに期待に上ずっている。
……なぜ自分がここにいて、魔王の代わりをしているのか分からないのだ。
この世界がなんなのか。この魔王城がなんなのか。魔王とはなんなのか。勇者とはなんなのか。ケープハイラックスたちは。この城の本当の主人はどこにいるのか。この指揮棒は何で、どうして自分は王冠を被せられ、マントをつけて指揮などしているのか。
だがひとつ、自分たちは確実に、この勇者に執着している。
あの勇者を打ち倒し、我がものにすることを望んでいる。
あるいは、あの勇者に斃され、引き裂かれることさえ。
「ひィ……ッ」
耳で聞いているのか定かではなくなるほどに低いチューバの振動が、辰乃の背を甘く震わせた。歯を食いしばっても、裏返った悲鳴が漏れるのは止めることができない。
主題へと向かって盛り上がる演奏に、動きを止めて表情を動かさぬままにく異形の少年に、昂揚させられる。
焦ってはいけない。
急いてはいけない。
だが、どうしても。 火に炙られるようにしてじわじわと、じりじりと上り詰めて行く。
「……ッ!」
深く息を吸い込み、指揮棒を振り上げる。振り下ろすことで欲しいものが手に入るという確信があった。
だが。
「…………えっ?」
音が止まる。
余韻のひとかけさえなく、魔王場に満ち満ちていた音がぶっつりと途絶えた。
一瞬、何が起こったのか分からない。耳の痛くなるような静寂の中に、指揮棒を振り上げたままの、熱のこもった体だけが取り残される。どうして、なぜ、という問いが頭の中で暴れまわり、手に入れられるはずだった快楽をすんでのところで取り上げられた怒りが胸を突く。
だがそれも、何が起こったのかを閃くまでのことだった。
……{摘発}だ。
「うわっ……あっ……!」
「摘発だ、摘発された!」
「『天球統率者』に見つかったんだ」
「見ろ、魔王領域を」
「隅々まで『光の縛鎖』が張り巡らされている」
「指揮者の力が及ぶ場所は、もはやこの城のどこにもない」
小動物たちの言う通り、いくら指揮棒を振り回しても、何の手応えもなかった。影の楽士たちは姿を消し、弦をつまびく音ひとつさえ聞こえてこない。
魔王の力を打ち消し、領域を侵すのが勇者たちの塩の力であるとするならば、これは魔王の力を縛り、その存在を隔絶する呪縛の力だった。辰乃は顔を引きつらせて、ついに尻餅をつく。
パキン、と言う硬い音とともに、魔王の間を光が取り巻いた。
広大だった城の姿が揺らぎ、収束していく。
それは、抗う発想自体が萎えさせられる、魔王を縛る絶対の拘束だ。縛鎖に捕まった以上は、何もできることはない。そして、同時に何もされることもない。戦場から引き剥がされ、まさに隔絶される。ゆらぎの中にあった勇者もまた、他の魔王城へ飛ばされるはずだ。
「目立ちすぎた」
「影の力を使いすぎたんだ」
「こうなってはどうしようもない」
「残念だけど、今回はここまでだ」
「いや」
「待て」
「待った」
「何かがおかしい」
「へあっ……?!」
炎に温められた空気のにおい。
魔力を失い、体裁を剥ぎ取られ、魔王領域の広さは本来の四畳半まだ縮まっている。力を奪われ、いくら辺りを見回しても、曲が鳴り響いていた時のように視界がぶれたりかぶったりはしない。疲れ切って立ち上がる気力さえない、腰の抜けた女が一人座っているだけだ。
その目の前に。
「え、な」
目から炎を噴き出した少年が、ゆっくりと立ち上がる。
『回転する火の目の勇者』が小さく吐息を漏らすと、楽団の音楽に押さえつけられていたかれの炎が、再びその名の通りにぐるりを回り始める。
わずか上を向いていた顎が引かれ、辰乃の方を見た。本来であればもう、そこにいるはずのない勇者が。
炎の向こうに揺らぐ眼窩は、眼球を備えていない、ように見えた。しかし、確かにこちらを見ている。
電撃で打たれたかのように、全身にびりびりと痛いほどの痺れが走っていた。
勇者は魔王城を踏破し、その最奥にいる魔王を打倒するものだ。辰乃はその力を借り受けているだけだが、勇者にしてみれば違いはあるまい。
(殺される)
しかしそれを、自分は望んでいたはずではなかったか。
殺そうと殺されようと、そこに境目はなかったはずだ。
その夢想をしていたはずだ。
「いや、ちょっと、待っ……」
だが。
狭苦しい魔王領域の中をめぐる炎に、その熱に頬を叩かれるだけで、甘やかな夢さえ引き潰されて、恐怖ばかりが浮かんでくる。
怖い。
しかし、そんなことは勇者には関係がない。
異形の少年がこちらへ向けて一歩足を踏み出すとともに、炎が勢いを増し、辰乃を飲み込もうと迫った。
もはや悲鳴さえ出ない。頭を抱えて、辰乃は目をつぶる。
「…………」
炎の気配が失せたのは、やはり唐突だった。
いつまでも焼かれる気配のないのに眉根を寄せて、辰乃は恐る恐るに顔を上げる。
『回転する火の目の勇者』の姿はどこにもなく、ケープハイラックスたちもいつの間にやらどこかへ逃散していた。
代わりに辰乃の目の前に立ち、こちらへ影を落としているのは。
「よお、相変わらずシケたツラしてんな、指揮者(コンダクター)」
「…………は」
身を屈めてこちらを見下ろし、色眼鏡越しにこちらを睨む目つきの悪い男を、辰乃は言葉もなく見上げる。
見覚えのない、初めて会う男だった。だが、確かに辰乃には分かった。間違いない。かれはここに帰ってきたのだ。
「が、『玩弄する言語の魔王』……」
知るはずのないその名前を辰乃の唇が紡ぐと、男は満足げににやりと笑った。
魔王城には、音楽が絶えている。
曲調ばかりではなく、楽団を構成する楽器の編成自体が大きく変更されている。コントラファゴットが姿を消し、ティンパニーに加えていくつもの打楽器、そして種々の金管楽器が取り揃えられて。奏でられるのは地の底から響くような、天の上から振り下ろすような、腹の底に響く重々しい旋律。
言葉を発して、楽団員たちに命じたわけではない。以前から打ち合わせをしていたわけでもない。陽炎めいたかれらはふだんから辰乃の前に姿を現さず、魔王城のどこかを通りがかった時に、視界の隅にちらつくだけの存在だ。
それが、ただ辰乃が指揮棒を一振りしただけで――そこに載せた意志を瞬時に汲んだとしか思えないような敏感さで、その動きを変える。
より大きく、より激しく、より重く、さきほどまでの軽やかさを振り捨てて、叩きつけるように強く、身もよだつほどに壮大に。城壁を振るわせ、見えない圧力さえ感じさせるその音の波は、辰乃たちにとってはそれでも{ただの音楽}でしかないが、勇者に対してはその身を打ち砕く魔法となる。
「走ってるな!」
ケープハイラックスがキイキイという獣めいた鳴き声とともに、辰乃の耳元で再び声を張り上げた。それは音に圧され足を止めた勇者のことを指しているわけでも、もちろん先程から疲れて足元から覚束なくなってきた辰乃のことでもなく、影の楽団たちが奏でるその音楽のことだろう。
辰乃はこの曲もまた聞いたことはない。
指揮者である辰乃が耳にしたこともない、曲名さえ分からない音楽を、間違いなく辰乃の指揮に従って奏でるのがこのオーケストラ、この魔王領域だ──しかし、小さな牙を向き出した小動物の怒鳴り声の通り、この演奏が{走っている}ことは、辰乃でも何となく理解できた。
世界を揺さぶるような激しさ、全身を震わせて金縛りにするような重さ、聴衆を圧倒するような壮大さ。だが、明らかに曲調のわりにテンポが速い。
まるで重い荷物を背負い、重装備のまま、足並みを揃えてマラソンをしているかのような。せわしなく疲れる気持ちにさせられる。
だがそれも、辰乃の心映えを写し取ったものであるかも知れなかった。辰乃自身が、この曲を聞く前から逸っている。
「……はあっ、はあっ……!」
上がる息を抑えて、辰乃は汗ばむ手で指揮棒を握り締め、魔王城の中を目を凝らして睨んだ。
炎はその力を減じ、音に圧されたように、しかし消えることもなくその場に凝っている。
『回転する火の目の勇者』は、まさにその双眸から燃え盛る炎を噴き上げた異形の勇者だ。とは言え楽団の音楽によって釘付けにされたその体は間違いなく人間のもので、火の向こうでじりじりと揺らめくその顔はあどけない少年にも見える。その顔の造作は、人形のように整っている。
この勇者のことを、辰乃は知っていた。
もちろん、ほかの勇者と同じぐらい何者か分からぬ存在だけれども、自分は個体としてかの勇者を認識している。
「……はあっ、はあっ、はあっ……!」
この大音量の中にもかかわらず、荒く吐き出される自分の息が、早鐘のような心臓の音が酷く大きく聞こえた。指揮棒を持たない方の手で──汗をかいてひどく震えている──胸元を掴み、口の中にたまった唾を飲み込む。
どくどくと高鳴る心臓も、からからに乾いた喉も、全身から噴き出す汗も、このむちゃくちゃな指揮に振り回されているばかりが理由ではない。
前からこの魔王城へ侵攻を繰り返している勇者だ。いつもは辛うじて追い返しているけれど、今日は楽団の調子がいい。もしかすると、上手くやれるかも知れない。
「はあっ、はあっ……!」
「指揮者(コンダクター)、慌てるな」
「そうだ。慌てるな。今日こそあの勇者を」
「分かってる、っ、分かってるから……!」
吐息交じりの自分の声は、みっともないほどに期待に上ずっている。
……なぜ自分がここにいて、魔王の代わりをしているのか分からないのだ。
この世界がなんなのか。この魔王城がなんなのか。魔王とはなんなのか。勇者とはなんなのか。ケープハイラックスたちは。この城の本当の主人はどこにいるのか。この指揮棒は何で、どうして自分は王冠を被せられ、マントをつけて指揮などしているのか。
だがひとつ、自分たちは確実に、この勇者に執着している。
あの勇者を打ち倒し、我がものにすることを望んでいる。
あるいは、あの勇者に斃され、引き裂かれることさえ。
「ひィ……ッ」
耳で聞いているのか定かではなくなるほどに低いチューバの振動が、辰乃の背を甘く震わせた。歯を食いしばっても、裏返った悲鳴が漏れるのは止めることができない。
主題へと向かって盛り上がる演奏に、動きを止めて表情を動かさぬままにく異形の少年に、昂揚させられる。
焦ってはいけない。
急いてはいけない。
だが、どうしても。 火に炙られるようにしてじわじわと、じりじりと上り詰めて行く。
「……ッ!」
深く息を吸い込み、指揮棒を振り上げる。振り下ろすことで欲しいものが手に入るという確信があった。
だが。
「…………えっ?」
音が止まる。
余韻のひとかけさえなく、魔王場に満ち満ちていた音がぶっつりと途絶えた。
一瞬、何が起こったのか分からない。耳の痛くなるような静寂の中に、指揮棒を振り上げたままの、熱のこもった体だけが取り残される。どうして、なぜ、という問いが頭の中で暴れまわり、手に入れられるはずだった快楽をすんでのところで取り上げられた怒りが胸を突く。
だがそれも、何が起こったのかを閃くまでのことだった。
……{摘発}だ。
「うわっ……あっ……!」
「摘発だ、摘発された!」
「『天球統率者』に見つかったんだ」
「見ろ、魔王領域を」
「隅々まで『光の縛鎖』が張り巡らされている」
「指揮者の力が及ぶ場所は、もはやこの城のどこにもない」
小動物たちの言う通り、いくら指揮棒を振り回しても、何の手応えもなかった。影の楽士たちは姿を消し、弦をつまびく音ひとつさえ聞こえてこない。
魔王の力を打ち消し、領域を侵すのが勇者たちの塩の力であるとするならば、これは魔王の力を縛り、その存在を隔絶する呪縛の力だった。辰乃は顔を引きつらせて、ついに尻餅をつく。
パキン、と言う硬い音とともに、魔王の間を光が取り巻いた。
広大だった城の姿が揺らぎ、収束していく。
それは、抗う発想自体が萎えさせられる、魔王を縛る絶対の拘束だ。縛鎖に捕まった以上は、何もできることはない。そして、同時に何もされることもない。戦場から引き剥がされ、まさに隔絶される。ゆらぎの中にあった勇者もまた、他の魔王城へ飛ばされるはずだ。
「目立ちすぎた」
「影の力を使いすぎたんだ」
「こうなってはどうしようもない」
「残念だけど、今回はここまでだ」
「いや」
「待て」
「待った」
「何かがおかしい」
「へあっ……?!」
炎に温められた空気のにおい。
魔力を失い、体裁を剥ぎ取られ、魔王領域の広さは本来の四畳半まだ縮まっている。力を奪われ、いくら辺りを見回しても、曲が鳴り響いていた時のように視界がぶれたりかぶったりはしない。疲れ切って立ち上がる気力さえない、腰の抜けた女が一人座っているだけだ。
その目の前に。
「え、な」
目から炎を噴き出した少年が、ゆっくりと立ち上がる。
『回転する火の目の勇者』が小さく吐息を漏らすと、楽団の音楽に押さえつけられていたかれの炎が、再びその名の通りにぐるりを回り始める。
わずか上を向いていた顎が引かれ、辰乃の方を見た。本来であればもう、そこにいるはずのない勇者が。
炎の向こうに揺らぐ眼窩は、眼球を備えていない、ように見えた。しかし、確かにこちらを見ている。
電撃で打たれたかのように、全身にびりびりと痛いほどの痺れが走っていた。
勇者は魔王城を踏破し、その最奥にいる魔王を打倒するものだ。辰乃はその力を借り受けているだけだが、勇者にしてみれば違いはあるまい。
(殺される)
しかしそれを、自分は望んでいたはずではなかったか。
殺そうと殺されようと、そこに境目はなかったはずだ。
その夢想をしていたはずだ。
「いや、ちょっと、待っ……」
だが。
狭苦しい魔王領域の中をめぐる炎に、その熱に頬を叩かれるだけで、甘やかな夢さえ引き潰されて、恐怖ばかりが浮かんでくる。
怖い。
しかし、そんなことは勇者には関係がない。
異形の少年がこちらへ向けて一歩足を踏み出すとともに、炎が勢いを増し、辰乃を飲み込もうと迫った。
もはや悲鳴さえ出ない。頭を抱えて、辰乃は目をつぶる。
「…………」
炎の気配が失せたのは、やはり唐突だった。
いつまでも焼かれる気配のないのに眉根を寄せて、辰乃は恐る恐るに顔を上げる。
『回転する火の目の勇者』の姿はどこにもなく、ケープハイラックスたちもいつの間にやらどこかへ逃散していた。
代わりに辰乃の目の前に立ち、こちらへ影を落としているのは。
「よお、相変わらずシケたツラしてんな、指揮者(コンダクター)」
「…………は」
身を屈めてこちらを見下ろし、色眼鏡越しにこちらを睨む目つきの悪い男を、辰乃は言葉もなく見上げる。
見覚えのない、初めて会う男だった。だが、確かに辰乃には分かった。間違いない。かれはここに帰ってきたのだ。
「が、『玩弄する言語の魔王』……」
知るはずのないその名前を辰乃の唇が紡ぐと、男は満足げににやりと笑った。
魔王城には、音楽が絶えている。
NEWS
《コズミックスフィア》に不穏なうわさが流れる遠くの地で、不可解な死を遂げた魔王がいたという
その死体は黒い錆になって、苦悶の形をして死んだという
魔王変異……誰かが名付けたそれは、瞬く間に広がる
魔王は死ぬ――
天球使『フォートリエ』
「やぁやぁ、魔王たち。ルールッを守っていますか?」
天球使『フォートリエ』
「ルールッを守らないものには、死が訪れるかもしれませんねぇ」
天球使『フォートリエ』
「魔王領域を空かしてはいけませんよ。決して……そして」
天球使『フォートリエ』
「キュアを信じるのです……それ以外は、すべてまやかしです」
天球使『リヴァリエ』
「遠くの地で魔王が死んだようだな。これは、ここでも起こりうる」
天球使『リヴァリエ』
「力を求めすぎた者の、末路というわけだ」
天球使『リヴァリエ』
「大いなる力には、危険が伴う。ということだ」
?????からのメッセージ
「おはよう、魔王の諸君(眼鏡クイッ)」
?????からのメッセージ
「レガリアの覚醒は順調だ(眼鏡クイッ)あと数時間もあれば覚醒できる(眼鏡クイッ)」
?????からのメッセージ
「(眼鏡クイッ)しかし、危険も多い(眼鏡クイッ)そう、変異の力だ(眼鏡クイッ)」
?????からのメッセージ
「変わるというものは、よいことばかりではない(眼鏡クイッ)決して元に戻れないほど、破壊されてしまうこともある(眼鏡クイッ)」
白い蠅の魔王『スバタ』
「最近の敵の動きを追っている。君たちに伝えておく。僕は報告連絡を欠かさない。すごい!」
白い蠅の魔王『スバタ』
「敵――そう、『天球統率者』以外にも、敵はいる。それは、『変異の力を持ったもの』というべきか」
白い蠅の魔王『スバタ』
「異形の存在だ。影のように不気味に存在し、篝火のように邪悪な魂を燃やしている」
白い蠅の魔王『スバタ』
「これは恐ろしい力だ。気を付けなければならない……僕は、君が心配だ。君が死ぬことを考えると……ぶるぶる!」
白い蠅の魔王『スバタ』
「僕も気を付ける。最近、『奴』の周囲を嗅ぎまわりすぎた。危ないかもしれない」
白い蠅の魔王『スバタ』
「でも、大丈夫。僕はすごい。すごいやつなんだ……僕は……」
勇者『テオ』
「お前! また会ったな!!」
勇者『テオ』
「まぁ、話を聞いてくれ! 俺は魔王を探している」
勇者『テオ』
「俺にも、運命で結ばれた魔王がいるはずなんだ! 勇者には必ず一人いるように」
勇者『テオ』
「俺の魔王を見つけたら教えてくれ! じゃな! また!」
◆訓練
-好感度の訓練をしました今回作成の-好感度が-1減少し、経験値を得た
-好感度の訓練をしました今回作成の-好感度が-1減少し、経験値を得た
-好感度の訓練をしました今回作成の-好感度が-1減少し、経験値を得た
-好感度の訓練をしました今回作成の-好感度が-1減少し、経験値を得た
-好感度の訓練をしました今回作成の-好感度が-1減少し、経験値を得た
『指揮者』はふろんとろを購入した!!
『指揮者』はカフィンを購入した!!
『指揮者』は夕暮れの獣を購入した!!
『指揮者』は潮の香りのパイプを購入した!!
◆作製
冷ややかなトリルを作製した!!
◆レガリア決定
暁新世界 に決定!!
◆アセンブル
エントランスに夕暮れの獣を装備した
通路にあなたのビーストを装備した
応接間に潮の香りのパイプを装備した
商店街にあなたのクラウドを装備した
回廊にあなたのビーストを装備した
三叉路にあなたの水路を装備した
闘技場にふろんとろを装備した
幹部の部屋にサイケデリックなピッコロ奏者を装備した
魔法陣に冷ややかなトリルを装備した
奈落に冷たいアルペジオを装備した
◆心魂結束
◆対象指定
対象指定……フリー
ユニオン活動
【素人楽団】の活動記録
言うて初心者で、音楽とかよく分かんないんすよね
経験値の訓練をしました
経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
経験値の訓練をしました経験値が1上昇した
メッセージ
ENo.79からのメッセージ>>
モーラ=フォニエ
「まったく、なんでこんな摘発だなんて目に合わなきゃいけないのかしら!
せっかく調子よく聞こえてた音がなくなっちゃうじゃないの!
……あら?」 モーラ=フォニエ
「……このお城は……勇者のじゃない音を奏でているのかしら?
お城が、自分で音を出しているの?」 モーラ=フォニエ
「すごいのね、このお城!こんなに素敵な音が出るなんて!
今日は――あなたのお城が奏でる音のおかげで、退屈しなさそうだわ」
メッセージを送信しました
>>Eno.15
モーラ=フォニエ
「まったく、なんでこんな摘発だなんて目に合わなきゃいけないのかしら!
せっかく調子よく聞こえてた音がなくなっちゃうじゃないの!
……あら?」 モーラ=フォニエ
「……このお城は……勇者のじゃない音を奏でているのかしら?
お城が、自分で音を出しているの?」 モーラ=フォニエ
「すごいのね、このお城!こんなに素敵な音が出るなんて!
今日は――あなたのお城が奏でる音のおかげで、退屈しなさそうだわ」
メッセージを送信しました
>>Eno.15
◆戦闘結果
戦闘結果は*こちら*
◆ダイジェスト結果
精算
売上高 116
攻撃戦果収入4.04
支援戦果収入12.13
防衛戦果収入35.54
捕虜交換 140
戦闘報酬191
販売数補正 0.2%
売上均衡補正 3.3%
戦闘報酬均衡補正3.43%
合計現金収入328
獲得レートポイント328
【!】摘発 あなたのダンジョンは摘発されました……
収入 3300moneyがかき集められました
【!】経費 5621moneyを消費しました
【!】破産 装備ユニットが売却されます……
◆かくすいっち💥廉価版 は破壊されてしまった……
◆夕暮れの獣 は破壊されてしまった……
◆あなたのビースト は破壊されてしまった……
◆潮の香りのパイプ は破壊されてしまった……
◆あなたのクラウド は破壊されてしまった……
パーツ販売数 2個
今回の購入者-->>82 >>85
◆経験値が25増加しました……
◆『回転する火の目の勇者』 は ジャッジメント を習得したようだ……
あなたは1回カルマを重ねました
あなたは1回シュラとなりました
あなたは2回和解しました
攻撃戦果収入4.04
支援戦果収入12.13
防衛戦果収入35.54
捕虜交換 140
戦闘報酬191
販売数補正 0.2%
売上均衡補正 3.3%
戦闘報酬均衡補正3.43%
合計現金収入328
獲得レートポイント328
【!】摘発 あなたのダンジョンは摘発されました……
収入 3300moneyがかき集められました
【!】経費 5621moneyを消費しました
【!】破産 装備ユニットが売却されます……
◆かくすいっち💥廉価版 は破壊されてしまった……
◆夕暮れの獣 は破壊されてしまった……
◆あなたのビースト は破壊されてしまった……
◆潮の香りのパイプ は破壊されてしまった……
◆あなたのクラウド は破壊されてしまった……
パーツ販売数 2個
今回の購入者-->>82 >>85
◆経験値が25増加しました……
◆『回転する火の目の勇者』 は ジャッジメント を習得したようだ……
あなたは1回カルマを重ねました
あなたは1回シュラとなりました
あなたは2回和解しました
キャラデータ
名前
雇われ指揮者『三原辰乃』
愛称
『指揮者』
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あなたは摘発されています。違法性の少ないユニットを選んで装備し、キュアの魔法を発動させなければなりません キュアを発動させるには、レガリアに天光天摩か暁新世界を選択する必要があります プロフィール
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
三原辰乃 魔王に雇われた『指揮者(コンダクター)』 魔王の権能を一時的に貸与され、楽団を指揮する。 本来は男性らしい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あなたの作製した勇者 『回転する火の目の勇者』
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
__0__1__2__3__4__5 __6__7__8__9_10_11 _12_13_14_15_16_17 _18_19_20_21_22_23 |
お城データ |
|
|
ID | 種別 | 名前 | 詳細 |
---|---|---|---|
1 | シュラ物理護衛:ジャイアント | ふつうのジャイアント-0 [20] | ▼詳細 |
2 | 徳物理護衛:ジャイアント | 双子の巨人『L&Z』 [20] | ▼詳細 |
3 | 徳火炎建築:熱砂 | ふつうの熱砂-0 [20] | ▼詳細 |
4 | 電撃護衛:クラウド | あなたのクラウド [20] | ▼詳細 |
5 | 冷気罠:水牢の罠 | あなたの水牢の罠 [20] | ▼詳細 |
6 | 電撃建築:尖塔 | あなたの尖塔 [20] | ▼詳細 |
7 | 電撃罠:アラームの罠 | あなたのアラームの罠 [20] | ▼詳細 |
8 | 冷気護衛:ビースト | あなたのビースト [20] | ▼詳細 |
9 | 冷気建築:水路 | あなたの水路 [20] | ▼詳細 |
10 | --- | --- | --- |
11 | 電撃建築:尖塔 | あなたの尖塔 [20] | ▼詳細 |
12 | --- | --- | --- |
13 | カルマ冷気建築:水路 | 冷たいアルペジオ [20] | ▼詳細 |
14 | 虚空火炎建築:懲罰室 | 《窓際》 [20] | ▼詳細 |
15 | 徳物理建築:植物 | すいか [20] | ▼詳細 |
16 | 徳物理護衛:ジャイアント | 帰ってきたストーンゴーレムさん [20] | ▼詳細 |
17 | --- | --- | --- |
18 | カルマ火炎罠:睡眠ガスの罠 | 月下灯 [20] | ▼詳細 |
19 | 徳火炎建築:熱砂 | 焦げた柱と白い灰 [20] | ▼詳細 |
20 | 徳物理護衛:アルラウネ | BeluluFloce [20] | ▼詳細 |
21 | 徳火炎護衛:サキュバス | さきゅばすな式神ちゃんw [20] | ▼詳細 |
22 | カルマ電撃護衛:サイキック | サイケデリックなピッコロ奏者 [20] | ▼詳細 |
23 | 商品罠:商品の罠 | 硬質グミ [21] | ▼詳細 |
24 | シュラ冷気建築:水路 | 冷ややかなトリル [21] | ▼詳細 |
25 | カルマ電撃護衛:サイキック | ふろんとろ [20] | ▼詳細 |
26 | シュラ冷気護衛:ゴースト | カフィン [20] | ▼詳細 |
27 | --- | --- | --- |
28 | --- | --- | --- |
29 | --- | --- | --- |
30 | --- | --- | --- |
次回の報酬ボーナス
売上均衡補正 | 3.8% |
---|---|
戦闘報酬均衡補正 | 8.31% |
明日の戦場
作戦開始……8時00分 第4ブロック 「トルグの小さな部屋」
小部屋が続くダンジョン。扉を開くたびに、新しい出会いがある
ID-1 ジェネラル・上流桜子・クウォーターズ |
ID-2 魔王【悲劇の王】 |
ID-3 ブレイヴアクト |
ID-4 ミスト |
ID-5 時果ての魔王クン |
ID-6 鏡偽の魔王『あいせう』 |
ID-7 音韻の魔王『モーラ=フォニエ』 |
ID-8 阿山 煕&阿山 ニール |
ID-9 姿見せぬ魔王『リュゴヌー』 |
ID-10 詐欺商人の猫『ナジ』 |
ID-11 人形ちゃん |
ID-12 魂取り |
ID-13 ンナ |
ID-14 セラフィーナ |
ID-15 レイサス・アルデバラン |
ID-16 氷霧の魔王 |
ID-17 ゾロトイバタン |
ID-18 雇われ指揮者『三原辰乃』 |
ID-19 トリヴェイル |
ID-20 闇 |
--- | --- | --- | --- | --- |
--- | --- | - vs - | --- | --- |
ID-51 Vaul主ちゃん |
ID-52 流浪のカルマ冷気魔術型勇者 |
ID-53 ヒーローオブニューク |
ID-54 流浪の徳聖魔治療型勇者 |
ID-55 流浪のカルマ聖魔護衛型勇者 |
ID-56 流浪の徳聖魔治療型勇者 |
ID-57 流浪のカルマ聖魔魔術型勇者 |
ID-58 流浪の徳火炎魔術型勇者 |
ID-59 匪賊の盗賊 |
ID-60 流浪の徳物理治療型勇者 |
ID-61 流浪のカルマ物理魔術型勇者 |
ID-62 流浪の徳火炎魔術型勇者 |
ID-63 流浪の徳聖魔治療型勇者 |
ID-64 流浪の徳聖魔護衛型勇者 |
ID-65 『華々しき婚姻の勇者』ヘルマフロディトス |
ID-66 ミ/ |
ID-67 はぐれハーピィ |
ID-68 熔けぬ焔 |
ID-69 姿見えぬ勇者『トラッハドール』の先導 |
ID-70 衛兵さん |
熔けぬ焔 攻撃種別:徳電撃魔術 習得魔法: ゴブリンズギフト ホーリーブラスト ヘヴンズロウ レベル :7 勇者情報:1301体目の機械で出来た勇者 |