ENo.0028　ハーヴィスト・T・アビス

かくも商売は星々の如く移ろいゆくものだ。
・・・・・・。
我とて魔王。時には意味深なことを言ってみたくなるものだ。そうであろう？

・・・。

さて、先日のあきないでは程々に売れ、程々に勇者どもをもてなせたのではなかろうか。
しかしこれで満足がいったとは当然ながら言い難い。
かき集めたるは妙な連中、そして何か…なんだろう、とても苦い黒い水。これは何だろう。母上も教えてくれなかったんだけど。

…まあ良かろう。勇者どもはこれを好む様子だ。
我特製の影吸い球を買った勇者は随分と…何だ…機嫌を悪くしていたが、これは好みらしい。
モカちゃんもこれをいっぱい仕入れろとゆるくあどばいすしてきた。
…なに、部下の言い分を聞き入れるのも魔王の度量よ。反逆は一番怖いと母上も仰っていた。

でも影吸い球も少しは売りたいし勇者も喜べばいいのに…これ…便利だぞ？すごく。

あ…ああ…そういえば！初代様の時代に迷宮が道を開いたようだ。我があちらに干渉するとすごく怒られるからこちらからは何もできぬわけだが。
が、初代様の側近たる金さんが分霊の魔術を使用し駆けつけてくれた。…が、金さんは殴り合いが得意なお方であるからな…。まあ、乱暴な勇者どもから娘達を守る役目をしてもらうことにしよう。

先達の魔王たちの言う最後の日とやらはよくわからぬ。
我が迷宮にも何かしらの影響を及ぼす可能性があるのであれば捨て置けぬ案件ではあるが…今は静観する他あるまい。うむ、このくらいか。今回は沢山書いたぞ。母上もきっと喜んでくださる。