ENo.0236　ミニモフッズ

深い深いダンジョンの底。
小さな小さな、たった四畳半の空間がありました。
ですが、今回やって来た魔王には……いいえ。魔王達には十分な広さでした。

「ぴいぴい」

来ちゃったね。

「きゅいきゅいきゅい」

来ちゃった。来ちゃった。

ぴいぴい。
きゅいきゅい。
小鳥のような高い声がそこここから上がります。
魔王達はとてもお喋りさんでした。

「あら？貴方達も魔王さんなの？」

そこに掛けられる可愛らしい声。
魔王達が一斉に声が聞こえた方向を振り向くと、そこには筒状のものを被ったスズランが居ました。

「きゅっ？」

だぁれ？

「きゅいぷう？」

あなたはだぁれ？

「私？私はアルラウネ！名前は……まだないわ」

「ぎゃう？」

ない？

「ぷうぷ？」

ないの？

「生まれたばかり、なのかしら……名前らしいものは覚えてないの」

「ぷきゅう」

そうなんだ。

「がうがう」

そうなのか。

話し掛けてきたアルラウネには名前がありませんでした。
魔王達は相槌を打つようにそれぞれ鳴き声を上げます。

「……ぷきゅあ！」

……そうだ！

「ぷう？」

なぁに？

「ぴゃあぴゃあ！」

名前！

「ぴゃああ？」

名前？

「ぴっ！ぴゃあぴゃあ、ぷきゅっ！」

そう！名前、つけてあげようよ！

「ぴい！」

いいね！

がうがう。
ぷきゅぷきゅ。
賑やかな相談が始まりました。
少し気になって声を掛けたアルラウネは最初こそ戸惑ったものの、魔王達が真剣に話し合っている姿を見て、嬉しくなってきました。

「ぴゃう！」

ラウ！

「ぴゃう！ぷぴぴぴ？」

ラウ！ってのはどう？

「ラウ……いいわね！アルラウネのラウ！」

「ぴゃう！」

ラウ！

「ぴゃう！ぷぷーぴゃん！」

ラウ！おねーちゃん！

「おねーちゃん？いいの？私がおねーちゃんで。嬉しいわ」

ラウと名付けられたアルラウネは、鈴が転がるような声で笑いました。
魔王達も嬉しくなり、ニコニコ、ニコニコと笑顔で溢れます。

「そうだ。私、貴方達だけでお店をやるのか心配で声を掛けたの」

ポン、と両手を合わせるように葉を合わせました。

「よかったらお店、私にも手伝わせてくれない？名前を付けてくれたお礼！」

「ぷいきゅ？」

ホント？

「きゅっぷい！」

やったー！

やったやったと魔王達は飛び跳ねます。
自分達だけでも大丈夫だと思ってましたが、ラウが居ればきっと百人力です。
魔王達はとても頼りになる仲間と出会えました。

「ああ。聞き忘れてたわ。貴方達はなんと言うの？」

「ぴゃいあぷう？」

ボク達？

「ぴゃいあぷう……」

ボク達は……



ミニモフッズ！

もふもふもふもふ……
とにかくもふもふにまみれ、その魅力に取り憑かれるだけのユニオン。
もふもふを可愛がるもよし。もふもふに可愛がられるもよし。