ENo.0194　鍵原ユキと天眼石蝶也

　「店長、あの」
　「なんだい鍵原くん」
　「なんすかこの、なんか、コレ」
　「ああコレ？店長が描いたんだよお。か～わいいでしょ」
　「いや、そうじゃなくって」
　「ん？……あ、もしかして色つけて欲しかった？よしよし、じゃあパパっと」



　「いやそうじゃなくって！！！これなんなんすか！！！！！」
　「や、なんかねえ、知らないうちに、まだ開店準備しかしてないのに、カメラが壊れててねえ」
　　(ﾋﾞｸｯ)
　「顔が映らないからね～、なんかこう、絵で代用しちゃおうかなって。店長ヨーカイだから化かすのは得意だしね」
　「……い、いまいちよくわかんないっす……」
　「あー、まあ、説明がし辛いんだけど、そのへんは深く考えると頭爆発して死んじゃうからね。やめときなよ」
　「ところでなんでオレ花なんすか？」
　「描きやすかったから」
　「……店長のこれはネコなんすか？」
　「フツーのネコじゃないよお、ネコマタだよネコマタ。尻尾分かれてるでしょ」
　「あっ魚の尾の部分じゃないんすねコレ」
　「もー、失礼だなあ！……あ、これあっちに持ってってくれる？」
　「あっ、はいっす」
　「……さーてと、こんなもんかな」

こぢんまりしているがそれなりに整えられた店内、とりあえずで並べられた商品のようなものや、コンビニというにはちょっぴりファンタジックなものたち。
そしておかしなところに飛ばされたものの、頑張ろうとしているふたり。

ユキくんは「きっと店長がなんとか……なんとかしてくれるっすかね……？」などと思っていました。
チョーヤさんは「様々なことをユキくんに任せてなるだけサボりたい」などと思っていました。

なんとかなるのかこの二人。きっとなんとかなるはずだ。
……本当に？


それはそうとしてゲーセン勤務の二人の適当コンビニ系魔王城経営が、今、始まる――！