ENo.0056　狂える王の妄執と憎悪の果てに辿り着いた廃魔王城

数多の世界を使い潰し、禁忌とされていたような儀式も片っ端から試した。
私の身体は大きく膨れ上がり、最早人間だと認識する者はいなくなっていたが、問題にはならなかった。
「魔王」だの「狂王」だのと呼ばれながら、
私はひたすら世界を巡り、壊し続けた…
期待などしていなかったが、私の望んだ世界は有った。
混沌と原初の世界、名の通りカオスが渦巻き、あらゆるものがそこから生まれうるという世界。
この世界こそが私に相応しい世界だと思われた。

…制圧は容易かった。
統率の取れていない軍隊など、赤子同然。
そして正式に「狂王」を自称したのがここからだった。
狂っていようがいまいが、武力を持って全てを制圧するのだから同じだったが、
インパクトのある名は重要だった。
部下を志し、やってくるものにせよ、
私を殺すためにやってくるものにせよ、
私の名に価値があるほど有利なのは自明だからだ。
思案する。
これはまだ始まりに過ぎない。
国として、軍隊として必要なものは多かった。
有能な部下を選定しなければ……。