ENo.0056　狂える王の妄執と憎悪の果てに辿り着いた廃魔王城

身体の内側を何かが這い回る感触があった。
意思を感じた…食い破りたいという意思。
だがそれは少し力を込めるとすぐになくなり、
這い回る感触も消えた。
私は成功したらしい。
試す必要もない、感覚ですでにわかる。
一段上のステップに登ったということだろう。
だが一段では足りない。
さらに上を目指さなければ。
次なる儀式を決めるために
ひとまず自室に戻ろうとすると同僚に声をかけられた。
「おい」
…同僚だったことはかろうじて覚えていたが、それだけだ。
「…何だ？」
「お前…その…大丈夫か？なんだか最近鬼気迫ってるというか、何かに追われてるように見えるぞ」
ああ、誰だか知らないがこいつは人をよく見ているらしいな。
どうでもいいことだが。
「…まだまだ未熟だと考えているところだよ」
「お前が！？はぁー、そういう感じだからそこまで強くなれるんだな。
ま、頑張れよ、根を詰めすぎないようにな」
それだけを言うと、彼はそのまま去っていった。
「……覚悟も目標もお前とは全く違うからな」
未だ私はスタートラインにすらないのだ。