ENo.0056　狂える王の妄執と憎悪の果てに辿り着いた廃魔王城

たしかに私は戦において少人数だろうと大人数だろうと
うまく立ち回れる。蹂躙できる。
だが、あくまでもそれは人の戦だ。
人の領域に収まっていては、人でしかない。
もちろん研鑽と年月の果てに人ならざる技を会得する道もあるだろう。
だがそれだけでは足りない。
当たり前だが人外の者が人ならざる技を使うのが一番強い。

幸いにもこの国の近衛兵、というのはなかなか待遇が良い。
日常のみならず戦場でも主君を護るという重責
（私にとってはお笑いだが！）
への対価なのだろう。
城の地下書架。
一般人はもちろんただの兵士なども立ち入れない区域だが、
近衛兵という立場は容易い出入りを可能にした。
どの世界にも一つや二つ、大きな声では言えない研究があるものだ。
そんなものが書架に無造作に放ってあるならば儲けもの、
それでなくても歴史を手繰るのがヒントとなる。