ENo.0028　ハーヴィスト・T・アビス

へん　なまり　なん　なな

何だこれは。モカちゃんが書いたのか？金さんに後で聞いておかねばなるまい。
なまり…訛りか？
そういえば村人たちが我の話し方を訝しんでいたな。あきんどというものはああいう話し方をするのだと様々な記録に残っていたからそれをいい具合に混ぜ込んではいるのであるが…さて？まあよい。

…

さて、
禁忌選定委員会とやらはよくわからぬ。
『アンデライト』とやらとも面識は無いが、我は調和を愛する良き魔王となるべくして母上に作られた魔王ハーヴィストである。助けぬ道理はなかろうよ。

…とはいえ、禁忌選定委員会とやらとも何れは解り合う必要はあるであろう。この世界では勇者と魔王がある種共生関係にある。
これは我が世界での在り方にとても良く似ている。…しかし、我が世界での在り方と決定的に違う。
習う部分は多いが、習える部分が砂粒のように小さい。

我の魔王としての在り方をこの世界は試してきているに違いない。きっとそうに違いないのだ。

……。
先程から部屋の戸口でこちらを覗き見ているサキュバス。
行き場所が無いというから拾いはしたが、勇者たちからは何だか微妙に反応が良くない。
すっかり自信をなくしている様子だが、サキュバスというのは…なんだろう、よくわからぬが、笑顔で客を持て成す種族であるのだろう？我ら身内に時折見せる笑顔であれば、客たちを喜ばせることもできるであろうに…。

我もあやつも、この世界で学ぶことは多いということであろうな。黒い水…コーヒーというそうだな。ひとまずはアレの作り方を覚えさせるとするか。