ENo.0236　ミニモフッズ

「ミニモフッズ？」

人で例えれば頭となる筒の部分を傾け、ラウは繰り返しました。
さらさら。
亀裂から飛び出ているスズランが揺れます。

「それが貴方達の種族名なの？」

「ぷっぷっ」

違うよ。

「違うの？」

きゅっきゅっ！
がうがう！
肯定するように鳴き声が上がります。



彼らの名はミニもふ。
とある世界に白もふと言うあだ名を付けられた、もふもふしたドラゴンが居ました。
そんな白もふをそっくりそのまま小さくしたような姿をしているため、彼らはミニもふと名付けられたのです。
実はこのミニもふ達。元々は魔王によって生み出された使い魔なのです。
彼らの生みの親である魔王は白もふとは家族であり、大層可愛がっているそうです。
ほんの少し昔の事。
彼らが仕えていた魔王は強引にこの世界に召喚されました。
家族と離れ、一人知らない世界に来た寂しさを紛らわせてくれ、なおかつ自分が守ってあげなければと奮い立たせてくれる存在として、ミニもふ達は誕生したのです。
無事に元の世界に戻れた魔王は、家族と共に幸せに暮らしています。
何故、ミニもふ達が魔王と離れ、彼らだけでこの世界にやって来たかと言うと、魔王の育ての親がきっかけでした。
生みの親である魔王の育ての親。基となった白もふの親でもあります。
ミニもふ達にとっては凄い人です。
いくら子供を溺愛し過ぎて、反抗期が来たら来たで「反抗期キター！」と大喜びする残念な人物であったとしても。
彼はミニもふ達に言いました。

「たくさんの人を幸せにしてみたくないかい？」

元々使い魔であるミニもふ達。
誰かに喜んでもらえたら、自分達も嬉しいと言う性質を持っています。
例え、彼がちっちゃいもふもふ達がお店屋さんをやっていたら絶対可愛いと言う、己の欲望に忠実になった結果から出した言葉だとしても、ミニもふ達にはとても重要な任務に感じたのです。
そうして、純粋で素直なミニもふ達は大好きな家族に見送られ、この世界にやって来たのでした。



「へー！そうだったのね！」

「きゅい！」

うん！

ラウは感嘆の声を上げました。
あくまでミニもふ達の視点から語られた内容。それは美談である事でしょう。
時には真実を知らない方がいい事もあるのです。

「そういう事ならより気合いを入れて頑張らなきゃね！」

「ぴゃんぴゃぷ！」

がんばる！

「ぴゃあぷ！」

ボクも！

「えい、えい、おー！」

「ぴゃい、ぴゃい、ぷー！」

えい、えい、おー！

ミニもふ達とラウ。
心を一つにして、お客様をおもてなしします。

もふもふもふもふ……
とにかくもふもふにまみれ、その魅力に取り憑かれるだけのユニオン。
もふもふを可愛がるもよし。もふもふに可愛がられるもよし。