ENo.0096　リィ・シージング

　～其2 自己紹介と色々
「……うん、勝手が違って難しいね？」
大成功とは言い難く、成功とも言えない状況に肩を落とすリィの姿。
「さ、さすがに最初からうまくできる人はいないと思いますよ…。」
「それもそうなんだけどね、でもほら、こう……昔かるーくは経営してたから…。」
バツの悪そうな顔でもみあげをいじる彼女、次の句が中々でてこない。
そして、リィの口からではなく、魔物の口から一言。
「……プライドですか？」
「…………うん。」
落胆、羞恥、色々な感情が入り混じった顔でうつむきながらぽつりと呟いた。
「世界の危機を前にそんなこと行ってないでほしいですよ！ほら仕入れますよ！ぱっぱっと動きますから！僕！」
「わ、わかったよ…。どうにも押せ押せだね……。」
がーっとまくし立てるようにリィの背中を押す魔物、リィはその様子に圧倒されつつもやると決めたからにはとあるき始めるのだった。


「……ところで、名前はなんていうんですか？」
「あれ、ああ、名乗ってなかったね…。
私はリィ、リィ・シージング、しがない魔術師だよ。」
「しがない、ってわりにはなんか色々持ってそうな…」
「……今は必要ないよね？だからあまり話そうとは思わないかな。もっと……危なくなったらね？」
「えーもったいぶらないでほしいですよ。」
「ダメだよ。手の内をそんなすぐに明かしてたらどうなるかわからないよ？」
「……世渡り上手ですね。」
「伊達に死線はくぐり抜けてないよ。……あと、厄介事にも巻き込まれてないよ。」
「リィさん……。」
「…っと、それで、あなたは？」
「なにもないですよ！」
「誇らないでほしいかな。……まいったね、ないのも不便だし……うん、考えておくよ。」
「ほ、本当ですか！ついに、僕も名付けられる…！！」
「……苦労してたのかな。」

リィの魔術式による倉庫の一角。この世界においては制限がかかっていて入れられる数は限られているが彼女はそれを切り詰めてでも団欒スペースを確保している。
休息はなにより大事かな。とは本人の談。
難しい書物も転がっている…。
※知識極ユニオン