ENo.0164　ラリル・レ・ロッタ

初めての勇者――客が去った。

ねむい。ねたい。本当にだるいことこの上ない。

（こんなの本当にあと12週もやるの？魔王だるすぎない？）

周囲の魔王達はせっせと次の準備をし始めている。
（まだ動く気あるんだ……すごい……ぼくはねむい………………）

（………………………。）
すとん、と落ちるように眠りについたのが今日最後の記憶。
いくら魔王でも睡魔というラスボスには勝てないのだ。


***


これが何かの夢なのだとしたら、覚めたいような覚めたくないような気分でいる。

いつか壊れ行く世界。
世界が壊れて、無の中でたゆたい、まどろんで。そんなことができればどれだけ幸せなことか。

そんな夢であれば、覚めないでほしい。

（…………………………あるわけないかぁ……）
何しろこんなに周囲が頑張っているのだ。

それぞれの目的は何であれ、きっとこれだけの魔王が居るなら、世界の崩壊なんてものは全員の人差し指一本ずつで止まってしまう、そんな予感がする。
全ての魔王に人差し指があるかどうかは知らない。

重い腰を上げて、渋々次の営業の準備をすると、ふと疑問に思った。

――ぼくの手、人差し指あったっけ。

パスタの妖精さんが住み着くキッチン🍝
多分めっちゃいい匂いする

温度と湿度が一定に管理されている