ENo.0022　龍魔王と蛇参謀と蝙蝠ちゃん

サーキナルが未だ目覚めない。
朝、いつもならば同じ時間に顔を見せる彼がなかなか部屋から出て来なかったので様子を見に行った。
眠ったままの彼にどう呼びかけても反応は無く、何をしても変わらず寝息をたてていた。
頭を撫でても、唇と唇を重ねても、身体の上に蛇を這わせてみても、変わらなかった。
これは先週の……いつだったか、少なくとも、戦闘があった日よりは前の出来事だ。
サーキナルに任せていた城への魔力供給を此方が引き継いだり、彼のコピーを作ったりとしていたらその日が訪れ、マーケットの商品や城の在庫等を確認する時間が無かったのを覚えている。
ようやく状況が落ち着いた今、この日記の存在を思い出し、こうして筆を取っている。
サーキナルは此方達の会話を忠実に書き込んでおるが、この状況ではそんな事は出来ない。
魔法で作ったコピーに建設的な会話は不可能であるからだ。
随分とぶっきらぼうな文章であるが、仕方ない。
今週の戦闘も此方一人で挑む事になるが、彼が戻ってくるまでの辛抱だ。
どうにかこの城を守り、目覚めた彼に売り上げを見せてやろう。

ちなみに小娘も同じく目覚めない。
丁度いいのでその辺に捨てようかと思ったが、目覚めた後にこき使った方がお得なので物置に放置している。

……寂しい。

　龍魔王は思った。
『ユニオンというモノがあるらしい。参加したいがウチの部下の性格上波風立たないユニオン活動というのは不可能なのではないか？』
　龍魔王は決めた。
『じゃあ自分でユニオン作っとこ』
　城の四分の一のスペースをユニオン用のソレへと変換。
　浮遊要塞となって魔王城の上をフワフワと浮いている。

　魔王と部下二人は今日も知識を求めて其処彼処から掻き集めた書物を読み漁る。
　要塞の中に眠る知識に興味があるのならば声をかけてみるのもいいかもしれない。
　運が悪いとクソゲーの攻略本等を見せられるやもしれないが。