ENo.0092　エン・レイ

【５ページ目：料理メニューを増やしてみます。】

　カフェ『アルテア』は、コーヒーを提供する為に始めたのですが、いらっしゃるお客様は、飲み物と一緒に食べ物もお求めになる事が多いです。
　お隣のササゴイさんの桟敷城で、演劇を見た後、ちょうどおなかが空く時間なのかもしれませんね。

　そんな訳で、先日はお土産に固執してしまいましたが、今週は、料理メニューを増やす為に、試行錯誤しようと思います。
　お料理は、ちょっとは自信があります。故郷でお姫様をしていた頃に、厨房の料理人さんから、包丁の握り方は学びましたし、結婚した後は家族分を作って、子供達も、おいしいおいしいって笑顔で食べてくれたので、きっと大丈夫です。はい、大丈夫です。

　クッキーとサンドイッチは作ってみました。あと、カフェに似合うものは何でしょう？
　答えを求めて、マーケットを覗いたり、カフェの経営にまつわる本を読んだりして、行き着いたのは、パスタでした。
　麺を茹でて、ソースをからめるだけ。家でも、忙しい時や、インシオンと息子のカナタの出勤前に、手早く作った事があります。
　それになんと、この四城半の世界には、調理時間をもっと短くする最新鋭のアイテムが存在するのです！
『でんしれんじ』
　タッパーに水とパスタを入れて、このでんしれんじにセットして、ぽちっと時間を設定するだけで、お鍋で茹でた時と同じ質のパスタが出来上がるそうです。その間に、お鍋でソースを作っておけば良いのです。
　これはすごいです。革命です。これを元の世界に持って帰ったら、世の中の料理がとてもはかどるのではないでしょうか。

　早速試作です。
　ソースはあの人の好きな、鶏肉とチーズ入りのホワイトクリームにしようと思います。
　あの人が喜んでくれたら、自信を持ってお店に出します。

「……という訳で、試作してみたので、試食してくださいますか？」
「ああ」
「……………」
「……………」
「……美味い」
「本当ですか？」
「お前に嘘言ってどうするんだよ」
「ただ、贅沢を言うなら、鶏肉はもっとごろごろして食べ甲斐があって、ソースにも胡椒がきいてると、更に美味いだろうな」
「なるほど……」
「まあ、お前が作るものなら、何でも美味くいただくがな」
「こんな時にのろけですか！？」
「（ニヤリ、と笑う）」
「とにかく、これは店に出していいぜ。俺が保証する」
「ありがとうございます！」

『資料室』と書かれたドア看板の下に、『飲食厳禁　飲食はフードコートで』とか、『資料の外部持ち出し厳禁（館内は許可）』とか、そんなことが書いてある。
ここは水族館の資料室だ。あなたはここで様々な海の生き物の生態が書かれた本や、あるいは水族館職員のつけた記録を読むことが出来る。
――そして、この水族館には存在しないはずの、『人魚』という存在について、非常によく知ることが出来るだろう。

*知識全振りユニオン*
*ユニオン購入は独断脳死予定*
*細かいことは以下のURL*

http://midnight.raindrop.jp/trieste/union.html