ENo.0096　リィ・シージング

「……さて、そうだね。話の続きでもしようか。」
「隔週になってるんですが…。」
「ああそれは私に言ってもしょうがないことだよ。なにせアセンに必死ですっぽぬけてたみたいだからね。」

「ほんとのほんとに最初…私が一番変わることになった出来事から話そうかな？
私にはお兄ちゃんがいてね。親はいなかったんだけど二人でそれはもう仲良く暮らしてたんだ。
でもこういう平和って長く続かないものでね……。」

―――
「お兄ちゃん……どうするの？こんな状況じゃ隊に戻って体勢を整える事だってできない…」
「しょぼくれた面をしてるんじゃない、リィ。こういう時は今いる面子でどうにかするしかないんだ。…レイン。」
「…わかってるさ、親友。長様までいなくなって今まとめられるのは俺くらいしかいない。
　今この場に居る者に告ぐ！突貫で申し訳ないが急場隊として我らはこのまま中央へ乗り込む！不安のある者は無理についてこなくてもいい！　生きてこその……戦果だ！」
「…様になってるな。」
お兄ちゃんとレインさんが二人で笑いあって、その二人の余裕そうな表情でみんなもまだなんとかなるって思ってる気がする。……私も、このまま親友を殺してしまったくらいでへこたれてちゃいけない。
「……リィ。お前はどうする？残るか？」
「残るわけないよ。こんなことしなきゃいけなくさせたんだから……落とし前をつけなきゃ気がすまない。」
「その意気だ。…………安心した。」
「？　なにか言った？」
「いいやなんでも、ほら構えておけ。すぐにでも……中央突破の号令がかかるからな。」

―――
「…………え？その後はどうなったんですか？」
「ん？その後？向こうにお客さん見えてるのに今してる暇あると思うかな？」
「え、ええー！？またお預けー？！」
「しょうがないよ、ほらやるよ、私に世界を救ってなんてお願いしておきながら…それでは許さないからね！」

リィの魔術式による倉庫の一角。この世界においては制限がかかっていて入れられる数は限られているが彼女はそれを切り詰めてでも団欒スペースを確保している。
休息はなにより大事かな。とは本人の談。
難しい書物も転がっている…。
※知識極ユニオン