ENo.0076　デボド"B・A・D"ギギゾジ

だるい。

俺様殿がまだこれを書いている事に驚きだ。
とはいえ、書く事が減っていることもまた事実。
このペースだと最終週まではもたないだろうな。

そんなことより、販売戦が開始された。
今週もまた、作成したやぐらの売れ行きは悪くない。
なぜか自分のところでも納入したが。少々資材の計算を間違えていたようだ。

では、いつも通り見回りをするとしよう。店は任せた。

――営業日報_4週目_初日　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

代わり映えのしない戦場。
手の早い魔王は既に販売を開始し、
そうでない魔王は機会を狙い虎視眈々と準備を進めている。

そして、何か妙な力が働いているのを感じる。
俺様殿だけではない、全ての魔王が何か"特別"を感じているはずだ。
それが何かは俺様殿にはわからん。理由も含めて。

――営業日報_4週目_二日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

こたつが完売した。在庫が少なかったな。
ある種手落ちとなるこの状態はいただけない。
やはり、ここらで一気に仕入れを行うか……。

だめにんげん一号に指示メモを渡したら
「ついに働く気になったんスね……！！」
などとのたまったので頬を抓っておいた。

――営業日報_4週目_三日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

このところ同じ顔を何度か見ている気がする。
まあ、戦場は主に4箇所だ。行き先が被る事もあるだろう。
俺様殿としては見覚えのある顔＝強い魔王なのであまり見覚えがあっては困るのだが。

今回の戦場は早くに決着がつく予感がする。

――営業日報_4週目_四日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

風が吹いている。それも特大の、商機の風だ。
こういう日はどこも凄まじい売上をたたき出す。
俺様殿の店は……まあ、まあだ。
売れた事自体は喜ばしい事だが、他店と見比べるのは得策ではないな。

当然、これだけの勢いに勇者共がそうそう耐えられるはずもなく。
次々と陥落する勇者の報が入ってくる。
活かさず殺さず、それが一番良い商人だとは言うがこの状況では無理だろう。
何せ、時間は限られているのだから。

――営業日報_4週目_五日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

正直もうやる事は殆どない。
風が吹いたお陰で勇者共は六日目にしてほぼ壊滅状態となっている。
深夜営業が始まったが、それもどこまで続くか。

まあ、売れるものが売れるなら俺様殿はどうだっていい。
たとえ何者だかわからない男が商品を買っていってもだ。

――営業日報_4週目_六日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

結局、あれからというもの俺様殿の店は閑古鳥が巣作りしているレベルに暇だった。
他の魔王との差はわからないが、なぜか行動の余地がないというべきか。
もう少々、店について考えるべきなのかも知れない。

それにしても、売れ行きの凄まじい魔王の多さに驚く。
何度か見た「眠たげな魔王」は勿論、
「深い隈の女」や「砂風呂屋」は特に目立っていただろうか。
後はよくわからんが「毛玉っぽい」奴も目立っていたか。
魔王も多種多様だな、と改めて感じる中、今週の販売戦は終了となった。

――営業日報_4週目_十二日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ