ENo.0312　ブルートシュタイン・ブラッディドラゴン

我輩が100年という長い眠りから覚め、棺から身を起こすと、外からはいつにないほどの喧噪が響いていた。
日は照っていない。何の騒ぎかと思い屋敷の戸を開けてみると、無限とも思えるほどに広い大迷宮が、我輩の目の前に広がっていた。
さらにそこには、あらゆる商店が列をなして並んでいるではないか。

我輩が眠る100年の間にに何があったのか？　それともこの迷宮は我輩の夢の産物なのか？　否、それとも我輩自身が知らぬ間に、異界へと足を踏み入れてしまっただろうか…？

調査したところ、この世界では商売を営み富を集める者を『魔王』と呼び、魔王から商品を買い、または奪う者を『勇者』と呼ぶのだという。

そして、15週目（今は残り10週ほどといったところだろうか）に来たる『特別なお客様』とやらを満足させねば、この世界は10000回目の滅びを迎えるという。

「ふむ、ならば暫しの戯れと行こうではないか！」

かくして我輩らの魔王業は、幕を開けることとなる。