ENo.0090　にんじん紅茶の魔王『ラパン』

　（掘っ立て小屋の小さな祭壇で、ウサギが不可思議に筆を振るっている）
　（慎ましく正しく、スケールの小さい字体で文が綴られている）
　（『穴ぐらウサギの日誌』）

　大層な計画が練られているようです。『アンデライト』という国を救うということだそうですが、我々はいつもどおり商いによる戦いを行うだけっぽいです。《カガクシャ》の方の考えることはわからないのですが、ウサギ的になんだかきな臭いような。
　ああでもそういうと、折角ご協力的な方に失礼ですね。ここだけの話にしてください。誰も読んでませんけど。

　兎にも角にも、新しいフレーバーのにんじん紅茶を考えてみましょう。
　りんごは以前良くしてくださった方から閃いたものですが、薬草茶のように様々な組み合わせができそうです。もとが“土臭い”と言われることもありますが……。難儀、難儀でございます。
　
　（掘っ立て小屋の近く、ウサギが畑でにんじんを引っこ抜いている）

　祈りの小屋。
　ここに立ち寄るのは、信仰も種族も問わず個々人の自由。
　ただ壇があるだけの簡素な構造の小屋。