ENo.0076　デボド"B・A・D"ギギゾジ

だるい。

前週に引き続き、初日は準備に追われる。
俺様殿の店は特段やる事がない。
なぜなら、商品の仕入れを殆どしていないからだ。

だめにんげん一号がどうスんすか～！とうるさい。
どうもしない。今週は――風を感じるからだ。

と言ったらまた適当言ってぇ～とダル絡みされた。
鬱陶しい。適当に相手しながらこたつでやり過ごした。

――営業日報_2週目_初日　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

二日目。
前週同様、早いところはもう客を入れている。
今回は2店舗が先んじて動いているようだ。

まあ、俺様殿には関係ないが。

――営業日報_2週目_二日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

ついに俺様殿の店にもカルマ勇者がご来店だ。
どうみても深海探査でもしてそうなトチ狂った奴が来た。
尤も、大した目的がないようでだめにんげん一号が適当に飯を振舞ったら帰っていった。

なんだったんだ。

――営業日報_2週目_三日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

前日に引き続きカルマ勇者が来た。
今回は来店ではなく侵入だ。クソめ。
商品在庫を狙ったようだが、そんなものはない。

腹いせか城の一部に放火していきやがった。クソめ。
あと消火作業でだめにんげん一号がやけどを負った。
軽度なので唾でもつけとけば治るだろうが、
あのカルマ勇者は殺す。

――営業日報_2週目_四日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

前日の放火の補修で一日を潰す。
魔力も無駄に使うわ、だめにんげん一号が
「防げなかったッス……」と消沈してるわで非常にだるい。

などと言っていたらまたカルマ勇者がご来店。
雑多に雇っていた傭兵サキュバスとプリンセス連中に相手をさせ、
事なきを得た。金は大して稼げないが仕方ない事だ。

他の店を見る限り、カルマ勇者共は順調に略奪をしている。
全員踏み潰されてしまえばいいのにな。

――営業日報_2週目_五日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

甦ったカルマ勇者が数匹力尽きたと聞いた。
同時に、倒れても動く奴も出たそうだ。
鬱陶しいことこの上なし。

――営業日報_2週目_六日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

……風の気配を感じる。俺様殿の店は一時休業。
特に深夜営業に備えるようにだめにんげん一号に言っておいた。
カルマ勇者共が次々陥落して、そして甦っているとの報告が多数。

――営業日報_2週目_七日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

本日より深夜営業を開始。そして――風が吹いている。
だめにんげん一号に早めに店を開かせておいた。

結果、先週に比べて大きな売上。気分がいい。
この様子なら他の魔王達もほくほく顔だろう。
見た所特に売れてるのは……
"緑の髪で目が隠れている和風"魔王だろうか。
"眼鏡をかけた3人組"魔王もか。

逆に、サービス業務を中心にしている魔王の調子は……どうだろうな。
俺様殿にはよくわからん。少なくとも客は喜んでいるようには見えるが。

――営業日報_2週目_九日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

前日に引き続き売れ行き好調。
だめにんげん一号がご機嫌で夕食を豪華にした。
途中で接客に出て行ったがすぐ戻った為
冷えた飯を食わずに済んだ。

しかし今回は風のせいもあり、早期に決着がつきそうだ。

――営業日報_2週目_十日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

来客があったが売るものがないので帰って頂いた。
特筆すべき点は他になし。
他所の魔王も好調に売りつつ、風の到来を喜んでいる。

――営業日報_2週目_十一日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ

だるい。

俺様殿の店は早々に営業を切り上げた。
在庫がない状態で商売するのは無理がある。

幸い、営業を切り上げてからそう日が経たないうちに
戦場は静かになった。今週ももう終わりだ。

そういえば前週とは別の魔王だが、
"気だるげ……を通り越して眠そうな"魔王が終了直前に
凄まじい勢いで営業をしていたのが目に付いた。
スロースターター、という奴だろう。

案外、気だるげな者が勝利を掴むのかもしれない。
勿論、俺様殿以外が。

ともあれ、今週も無事に終わった。
よく売り、トラブルにも対応しただめにんげん一号を
それとなく褒めておいた。

――営業日報_2週目_十五日目　デボド“B・A・D”ギギゾジ