ENo.0253　暁する羨望の魔王『フィオナヴァール』

乾いた静物の魔王『ネハジャ』
「おや、君も〈試合〉を始めたんだね！　ようこそ、〈球〉と〈スティック〉の世界へ！
　何でも聞いてよ！　わたしはちょびっとばっかり先輩だからね。君に負けないように、精いっぱい頑張るよ」


切り裂く紙片の魔王『ミモルド』
「あなたたちには、まず〈勝ち点〉を稼いでもらう。それだけを考えればいい。
　〈公式試合〉選抜試験は30週後に行われる。世界の破滅は15週後にやってくる」


徒花に灰を落とす魔王『セワ』
「グハハハハハー！　簡単なことだ！
　〈勝ち点〉を稼いで、15週後にやってくる〈選手団〉に、〈パワフル〉なおもてなし！　これだ！」


？？？
「どうも～〈公式チーム〉選定委員会の者っす！　はじめまして！
　いきなり衝撃の事実！　この委員会は〈ハーリング〉を消そうとしているっす！
　あ、安心するっす！　組織は今分断状態っす！　わたしらは『〈ハーリング〉守護派』の者ですぜ。
『〈ハーリング〉抹殺派』に反対する者たちっす！　奴らに先んじて、〈選手〉を手厚く保護するっす！
　申し遅れたっす！　わたしの名はメルサリア。カガクシャっすよ！
　バシバシサポートしていくっす！　決して、〈ハーリング〉の灯を絶やさせないっすよぉ！！」

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乾いた静物の魔王『ネハジャ』
「このメッセージは〈すべてのチーム〉に送っているんだ。なぜかというと、孤独にしないためだよ。
　わたしたち〈選手〉は、互いに助け合い……監視しなくちゃならない」


切り裂く紙片の魔王『ミモルド』
「〈競技運営〉委員会と私たちは協力関係にある。彼らから、起こりうる悲劇を聞いた。
　それは、私たち〈選手〉の中から一人……世界を破滅に導く存在が出る、ということ」


徒花に灰を落とす魔王『セワ』
「グハハハハハー！　心配するな！　別に元から世界は滅ぶんだ！　それを、俺たちが変える！」
　15週後の〈公式試合〉さえやり過ごせば、世界の破滅なんて避けられる話だってこと！

メルサリア
「どうも～メルサリアっす！　話は聞いていると思うっす！
　世界は滅ぶっす！　それを避けるのが〈選手〉っす！　でも、〈選手〉の中の一人が、救えたはずの世界を滅ぼすっす！」
　世界が滅ぶというのに、〈他チーム〉は浪費と強奪っす！　役に立たない奴らっす！　生まれた意味を忘れてるっす！
　だから今という時は、〈ハーリング〉が世界を救う時代っす！　価値観なんて変わるものっす！
　今日は皆のサポートの一環として、経験値をひとつ付与するっす！　これもカガクの力っす！」






　燃える暁に目は眩み、すべては華々しく白熱した輝きに覆われている。

　今朝にもまたいくつかの姿がゆらめく。
　訪う者らは霧の底にいるかのようにぼやけ、かたちならぬかたち、色ならぬ色をひらめかせ立ち去った。
　つまりどうやら、ここでは試合の審判を頼むために、人間をさらってくる必要はないらしい。
　訪問者はめいめい言葉を投げかけると、煙のように去っていった。

　それはおおよそ上のようなものである。
　彼にとってはこのように聞こえ、彼はまたこのように頷いた。

　何ひとつおかしなところはない。
　彼はただ試合をするのみ――そう、いかにも。
　彼の砦、彼のシュキャッハ、この古い山査子の木の下で。
　尋常に。
　公明正大に。

　暁する羨望の魔王『フィオナヴァール』が主導するハーリングチームです。

　
《フィール・ヴラテウォン》とは「王者の正義」ほどの意味。