ENo.0255　アスロェ

　徐々に店の売り上げは改善されている。
未だにあのモブおじさんとかいう存在には関わらないでいるが問題は無い。
僕は勇者と相対する存在、魔王なのだから。

…
……
………

　今日は建物を建てた。
パワースポットの上に建つとか何とか説明を付けることで勇者達を招き寄せる作戦だ。

ガチャ。

　不意に音がして建物の中から異種族のゴツイ体格の男が姿を現した。

「オメー誰だ魚？ ここは何処魚？」

　全く予想していなかった事態だ。
僕が感情を失っていなかったら動揺して支離滅裂な言葉を発してしまっていただろう。
幸い、僕は感情を失った身だ。
こんな異常事態にも冷静に対応できる。

「ここは僕の魔王城。
　パワースポットの上に建物を建てたら貴方が出て来たんだ。
　貴方こそ誰？」

「魚魚魚。」

　不思議な笑い声を挙げた男は自分が全魚人（意味不明）の偉大なる神父『シャチータ』だと名乗った。
彼もどうして此処に居るかは分からないが、建物は自分の物だと所有権を主張した。

「…事態は分からないけど、帰れないんでしょ？
　だったら、働いてね。」

　働かざる者食うべからず。
不服そうな表情を浮かべる男だったが、一日三食の缶詰を提供することで僕の仕事に協力することを約束してくれた。