ENo.0035　北風の魔王『ターピ』

「雨が降りそうですね、店長」
『……』

「…店長？」
『ん…………』


重たげな雲が空を覆い、ツリーハウスに取り付けられた風見鶏は少しも揺れる様子を見せないある日の事。
店長はいつにも増して、眠たげ…いや、もはや完全に寝ているようでした。


「店長、せめて素材の確認だけでも」
『…』
「……ハイ、僕がやっておきますね…」

しばらく共に過ごしていて、だんだん分かってきた気がします。
…店長、ターピ様は、商機の風の強さとおしゃべり具合が連動している。


「…もしもし、ハイ、35番目の魔王です」
「植物の苗を…はい、お願いします」

最初は何も分かっていなかったながら、僕の接客態度とか対応はなかなかいい線行っていると思う。センスというやつだろうか。

一息ついてお菓子を食べていると、センパイ魔王たちの言葉が聞こえてくる。

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《昔話をしよう。俺には妹がいて、二人で小さな店を開いていた》
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「妹かあ。セワさんも大変なんですね、」

……急に頭がくらっとする。

「…妹、いもうと」

妹、妹、妹、妹の反対ってなんだ。弟。？兄かな。姉かもしれないけど、弟だろうか。
僕は、何か

…

『ふえっ……くし』

急に視界がぐるりと反転した。
……僕は椅子から落ちている。
ターピ様はクシャミをしてベッドから転がり出ている。

「うわぁぁっ店長！起きたんですか！？」
『ん……あんで……ぉ……』
「そ、そうでした！今日はアンデライトの民の皆さんのための日でしたよね！大切な日なのに僕ったら…」
『…ね…いぃ』
「え？熱があるなら休んだ方がいい？ そんなことありませんよ！大丈夫です、僕は風の子、でしょう？」
『むん……』



僕と店長が店を出しに外へ出る頃には雨の雫が落ちてきていたので、僕は店長にレインコートを着せることにしました。
何色がいいか聞いてみると、黄色がいいとおっしゃったのでそうしました。

……緑色じゃないんですね？

あらゆる種類の木々がねじれ、取り込まれた一本の大樹が生えている。

『プランタ・タルタリカ・バロメッツ』と書かれた看板があるが特に羊が生えてくる様子はない。

様々な形の葉が作る木漏れ日の下にあるハンモック、ごつごつとした木肌にはめ込まれた丸い窓。




これは『気品』ある、巨大なツリーハウスだ。


・気品ユニオンをします
・ツリーハウスへの来訪、宿泊、生活が可能です
・カントリーな雰囲気のおうちライフが楽しめます
・火気許容状態