ENo.0119　トーントート

ねえ知ってる？



どこかには　15周で　すべてがなくなってしまう世界があるんですって





全てがなくなるとどうなるのかしら、消えた後の世界は？どこからまた始まる？






ねえ。とっても気になるでしょ　だからさ―




















目が覚めるといつもとは違う香りがする・・・・ああそうだ、昨日はここで寝たんだっけ。

あたりを見回せば何かの葉っぱやら液体やらがビン詰めされた棚ばかり。
ろうそくの火はくすぶって、部屋はカーテンの隙間から入る弱い光でうっすら浮かび上がる
見下ろせば木製の机にひとつ　すうすうという音とともに眠りにつく人影が見える


帝国第一皇女　アネット＝ラパラルーヴ



の姿をした



魔王　トーントート




私の身体で満足そうに寝息を立てすやすやと眠ってる。
腕を枕にして眠る腕の下や足元にはなにかごちゃごちゃと書かれた広洋紙。
そして枕元にはまた新しい薬品。きっと店に並べる商品だろう。

そんな枕元に立ち頭をコツンコツンコツンと叩く


「～～～～ん・・・・。おはよ、”アネット”相変わらず朝早いねえ・・・ﾑﾆｬﾑﾆｬ・・・」

いつまで寝ているのかしら
さらにコツンと頭を叩く

「わかったよぉ、起きるから刺さないでえ」

目は開かないがむくりと体を起こす。乱れた髪を手櫛で整えながら椅子を引き直す。


「・・・・・朝ごはんにするかァ」


まだ眠そうな顔で言い放った。









私アネットとトーントートは最近この世界にやってきました。
もちろん偶然などでなく、彼女、トーントート自らが行きたいと言い出したのだ。

彼女曰く、世界を渡るなんて造作もないと旅立つまではよかったものの、たどり着いた世界はなんともいえぬカオス
誰もかれも醜く争い。魔王すら城を捨て、勇者に転職したといいます。
世界はとんでもなく荒んでいました。


そんな世界を見聞きしたのちトーントートは[私の顔で]怪しい笑顔を浮かべながらこう言ったのです。



「ここで商いをしましょう！！」







それからの行動はめまぐるしく空いた屋敷に勝手に住み移り、商うためのスペースを確保。
もちろん手伝ってくれる人なんていないので、すべてはモンスターたちがこき使われてます。

「最近は寒いから温かいもの置いとけば売れそうじゃない？　部屋の雰囲気もそんな感じで」

「あ。その暖房はもうちょっと奥の方に。商品の品質が悪くなってしまうわ」

「もう！　ゴーストだけで持てるわけないでしょう。ゴーレム、手伝いなさい」

とかいいながらぺらぺらとページをめくる
何をしているの、と聞くとページをめくりながら答えた

「なんでもこの世界で商いをやってるのは私たちだけじゃないみたいよ～？ほれ、ここに名前が載ってるのぜーんぶ商人。しかも魔王、ですって　いやー私以外にもいるんだねえ魔王」
「んで、この右に載ってるのがその商人がお勧めする商品。自分で作ったり委託して作成したものを1つだけ載せれるみたい」
「もちろん私たちの名前も載ってるよ？ほら、No119.トーントート・・・ってこれあとで名前変えてもらえないかな。だってあなたの名前の方が人が寄ってきそうじゃん？身体もそうなんだし」
「ここで注文すれば開店日には届くみたい。　とりあえず今回は、燃料と・・・燃料と・・・なに。文句あるの。手ごろな温かい商品がこれしかないから仕方ないじゃん」


私はハァと息をつく。もしかしてこの魔王、商いをすると言ったのに、実はなにも知識がないのでは…



そんなこんなで開店日を迎えた魔王城。どうなるのか私は心配です

「万物の尺度は魔王にあり」
「この門をくぐる者、知識を望むなかれ」

詭弁学専攻者達が集まる、物々しいゲバ字張り紙が目立つ部屋。日々徒然なるままに屁理屈をこねて遊んでおり、物々しいのは入り口だけである。
時には寒いので、こたつにも入るしココアも飲む。
アットホームなこたつです。

機転3知識2振り（所属者の希望により変わる可能性もあり）