ENo.0080　闇

【業務報告】
[所感]
　……一転、惨憺たる有様である……
　如何様な言い訳も、空しさが募る以外、何も引き起こさぬ辺り……
　理に従う魔王たるでもなければ、廃業を視野にしかねぬ事態である……
　兎角……収支よりも、接客回数の異様な減少が如何ともし難い……
　……しかして、講じるべき手立ても、今一つに浮かぶでなく……
　此処に来て、八方塞がりも良い所である……
　一方の、情勢……
　100階層に跨る海への、救出行……その数週先には、特別な何某かの来訪が控えている……
　……かつての、折り重なる、9999回の世の如く。
　10000層目と成り行くのや、否や……

[収支報告]
　予定支出:1195+30
　取引収入:0

[在庫確認]
　バックヤードの護符を摂取吸収。

[設備投資]
　尖塔1基を粉砕吸収。
　また、尖塔4基を新しいものに改装。

[雇用状態]
　控えにいたマシンとジャイアントに暇。
　ハーピィ一名、新旧交代。

[備考]
　特になし。

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　目出度くも、第三夫人、第四夫人を迎える事が出来た……
　この数週に於いては、この上なき僥倖である……
　さてしかし、俺の側の、支度の遅れが些かに目立つ所……
　如何せん、挙動が遅いのは……不甲斐無い。
　……折角……斯様な身の上との縁を、快諾して呉れたのだ……
　相応、報いたく想う所である……

[輝のこと]
　今週もそれなりの収益を上げている様子である……
　……が、此れが、いとまの隙の手入れのみで成されての結果であるというのが、何とも底が知れぬ……
　この妻が、仮にも知識と余力の全て注ごうものなら、今頃は世を席巻したのではあるまいか……
　斯様な想い過るに、なんとも頼もしい感を抱くと共……
　だが、恐らく……この可愛らしく愛い妻は、『そのように』はせぬであろう……と。
　気紛れに、そう在るがままの性分が……またひとしお、愛おしく想えるのである……

[とんぼちゃんのこと]
　収支の『額面』は兎も角……
　評価項目(戦果)の類が、些か……らしくのない様子にも見える……
　……どうにも、沈んだ気配も伴うに……気落ちの類が、波及しているのであろうか……
　さりとて、何よりも。
　この快活な妻が、斯様な気配を纏おうなどと、露にも知れぬ居た手前……
　如何様な出来事に見舞われたのかと、至極、気掛かりなのである……
　……斯様な折、自在に妻の傍へと赴けぬ。
　この不動の身の上が、堪らなくもどかしい。

[花咲之前のこと]
　先の妃らに比べれば、収益はこぢんまりとしたものである……
　……と、言いたい所であるが。
　公(おおやけ)に記される魔王の業績は、妻でなく、その教え子のものである……
　曰く、未だ学びの前途の中にあり、魔王業はそのうちのひとつ……とのこと故、不調に見えてその実、これは伸びしろといったところであろう……
　さて兎角、斯様、目出度く妃として迎える事が出来た。
　経験故の駆け引きに長けた素振り在りつつも、根は実に可愛らしい……
　……いやさて、気紛れに翻弄されるも、それはそれで悪くない……などと、胸中にてひとり、柄にもなく浮かれ気味である……

[パイロちゃんのこと]
　かくして新たな妃をもうひとかた、迎えるに至り。
　改めて感ずるに、業績は目覚ましきものである。
　流石は、寄り集いし道具らより出るもの……得手の心得は、生来備わったものなのやも知れぬ。
　兎角……これが我が妻である、との思いを新たにするに、何とも誇らしげな心地が湧く……
　動向の如何には、俺自身、何の関りもないというに……斯様、我が事の如く喜ばしい想いに満たされるのである……