ENo.0068　ベーガ

モグモグモグ…。

皆で輪になり、ネイトのお土産である大きなお饅頭を食べていた。

なんでも近所の魔王城、お店で購入したものらしい。中には餡子がぎっしりだ。




……。

「甘い…。」




「ベーガちゃんのために、味がしっかりしているものを包んでもらってきたの！」

「薄味だと味がよくわからないものね。どう？美味しいかしら？」




「うん、美味しい…」




「よかったわ、大正解ね！」




「ヘェ～、ちょっと意外ですね。ベーガ様は甘党なのですか？」




モグモグモグ…。

ほお張りながら首を横振り、ネイトを見やる。




「あ、えっとぉ……」



ベーガの視線を受け、ネイトも頷き返した。

「ベーガちゃんはね、少し身体のアチコチが弱っているのよ」

「だから味覚もまだ本調子じゃないの、ね？」



コクコクと頷く…。




「そうだったんですか…？」

（全然そんな感じしないけど…）

「ベーガさんほどの精霊でも、そんなことがあるんですね～」




……。

そう言うサニポの顔を見つつ、お茶をゴックン。

再びネイトのほうを見やる。




「アハハ…。そうねぇ」

「えっと、昔に色々あってね。ベーガちゃん、お部屋でずっと眠ったままだったのよ」




「ヘェ～。あ、でももう今は元気そうですし、良くなったんですね♪」

（むしろ元気すぎて、お店が壊れそうだし…）




「う～ん…。えっと、そうねぇ～」




「実はまだお部屋で寝てないといけないんだけど、ここにはシュリちゃんに内緒で抜け出してきてるのよ」




…………。



「ハ…？」