ENo.0164　ラリル・レ・ロッタ

ばち、ばちっ。
部屋に電気が走る。

なんだか気がつけば電器製品ばかりがならぶエキセントリックな店になった気がする。

立てば静電気、座れば放電、歩く魔王は避雷針。
そんな雰囲気の電気屋になりつつある。

（…………最初からロボットとか作って任せておけばよかった）

静電気でただでさえボサボサな髪をさらに逆立たせ商品開発に勤しむ魔王はそう思った。

（でもまあ、ロボットならここまではできなかったかも）
完成間際の機械にそっと手をかざす。
電気の鋭い光とは少し違う、ぼんやりとした光が機械を包む。

（……よし、完成）
少しだけ満足げな顔を浮かべ、完成品を耳にあてた。

（みんな、元気かなあ）
ふつふつと沸き立つ心を抑え、口を開く。

「──あ、あー。もしもし……？みんないる？」

話しかけても返事はない。代わりに、遠い声が聞こえる。
『ヘボンヌったらひどいんです。こないだなんて、ちくわぶで──』
「……………………？　ムメモナ？」

『ふっ、ははは！！なんだそれ！！あの記録更新したんじゃないの？』
「…………ヤユくん」

『なんでしたっけ？』
『アレだよアレ！ゆで卵とアルパカの──』

トランシーバーの電源を切った。

──なんかみんな、げんきそうだな。

パスタの妖精さんが住み着くキッチン🍝
多分めっちゃいい匂いする

温度と湿度が一定に管理されている