ENo.0164　ラリル・レ・ロッタ

魔王は迷っていた。

「うーん……？」

山のように、というわけではないが、少しばかり幅広く種類を集めてしまったようだ。

「他の人からいろいろ買いこみすぎちゃったのかな……」

ふと、思い出すことがある。具体的に言うと自らのアイデンティティとか、プロフィールとか。

ラ行系怠惰魔王。そう紹介したのはどこの誰だっただろう。
タ行のお姫様か、それともア行の勇者だったか。

そう。最近商売という営みに手を出しているせいで少しばかり怠惰という単語から離れてしまった気がする。
「（在庫が余る程度には働いてないと思うんだけど）」

いぬを膝の上で撫でながらぼんやりしている。
怠惰になることに全力をかけた結果、怠惰になるための部屋やら怠惰をむさぼるためのこたつやら肉まんやらを作り、挙句の果てにそれを売らなければならない。
改めて思うが、あまりにも自分向きではないというか、働きすぎると自分のアイデンティティに関わるというか。

「……こういうこと考えるのもめんどくさくなってくる」

とりあえず今日はほかの人からの購入はやめよう。手持ちだけでもとりあえず乗り越えられるだろう。
そろそろ時季外れになりつつあるであろうこたつを並べた。

パスタの妖精さんが住み着くキッチン🍝
多分めっちゃいい匂いする

温度と湿度が一定に管理されている