ENo.0266　マフィ=ドリゾリッド

魔とは…

１ 人をまどわし、災いをもたらすもの。化け物。
２ 人を物事に熱中させるもの。
３ 不思議な術。
４ 仏道修行を妨げる悪神。悟りの妨げ。

この中だと魔女の『魔』は不思議な術という意味に分類されるのだろうか。

そういう意味で考えると、魔王も不思議な術を使う王という事で納得できる。

しかし、この世界には魔王がたくさんいる。王がたくさんいてその王同士が売り上げを競ったり、姉妹提携を組んだりしている。

つまり、この世界では王というものは一つの店舗を預かる者であり、実質店長であると言える。

魔王=店長。

こう考えればこの世界の図式が見えてくる。
店と言うのは国であり、国を守る事が店長かつ魔王の仕事なのだ。

苦手分野だ。

マフィはそんな事を思う。

魔術は得意であるが、客対応は苦手である。
この前きたカルマ勇者にも塩入り紅茶を浴びせたし、ついでに徳勇者にも塩入り紅茶を浴びせた。

勇者なのに作法のひとつもありはしない。

人の城に土足で入ってはいけない。
小学校で習わなかったのか？
マフィは訝しんだ。

売り上げは上がらなくても明日はやってくる。
マフィのため息が城に響き渡る。

初めて3日目の魔王業は早くも低迷の兆しを見せていた。

小高い丘にある古ぼけた建物。
屋根には大きな風見鶏。

ここは魔術雑貨店。
魔術に関する雑貨や書物のお店。

風の吹くまま、鶏の向くまま。
今日も物好きな客が何も買いもせず談笑を楽しんでいる。